印刷加工連、海外からのお客さま

 

先日、台湾からお客様をお出迎えいたしました。

篠原紙工もメンバーである印刷加工連 経由のお客様で、東京で「ニブンノ」という、デザインオフィス、ギャラリー、ショップ、そしてホテル!も兼ね備えた施設を運営している方々と台湾でデザインやディレクションをされている方々、計5名が工場へ遊びに来てくださいました。

NIBUNNO  https://www.nibunno.com/

 

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ニブンノさんは日本と台湾を繋ぐ活動をされていて、私たち印刷加工連が台湾へ視察に行く際に色々とお手伝いをしてくださった方々でもあります。

 

今までも何人か海外からのお客さんを工場で案内したことがありますが、皆さん一つ一つの工程や日本の紙の質の高さに驚かれたり、私たちにとっての常識が一歩国を出た方々からはものすごく質の高いものに見えたりするようで、改めて自分たちのことを知ることができるなぁ、といつも思います。

 

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印刷加工連はここ最近、少しづつ海外も視野に入れて活動し始めています。

きっかけはこちらから働きかけたというよりかは徐々にメールでの問い合わせが増えてきて仲間内でも海外も視野に入れていいのでは?という流れ今に至ります。「海外進出」と聞くと色々乗り越えなくてはならないことがたくさんありそうと思っていましたが、現実はその通りで。笑

お客さんからのお問い合わせ対応、見積もり、出荷、という基本はなんとかこなしている、というのが現状です。

 

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*ノルウェーからデザイン専攻の学生さんが来た時もありました

 

海外対応は私が担当させていただいているのですが、個人経営の小売店のオーナーさんとのやり取りがほとんど。皆さん、印刷加工連の商品にすごく惚れてくれているのが最初のメールで伝わってきます。

そのメールのやり取りをするたびに、私たちの価値を分かってくれている人が国外にもいると思うと本当に嬉しくなります。

 

海外とのやり取りの代理店等を使えば、ビジネス的には楽になるのかもしれませんが、お客さんと直にやることで得られる喜びは大きく、色々と間違いをしながらも今後も直接取引できるようになれたら、というのが理想です。 

 

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日本の製品やその質の高さは注目されていますが、印刷加工連としては「日本製」以外に何の価値を商品に組み込むことができるだろう?と考えています。品質が高いのは当たり前の基準として、その他にどんなプロモーションができるのか、そして購入してくれる人、使う人にどんな「素敵なこと」を提供できるのか。

まだまだ、その段階ですが、試行錯誤しながらも印刷加工連の活躍の場を広げていきたいと思います。T

 

 

 

 

製本会社だけど、手を動かさない思考のワークショップ (多摩美術大学)

 

Factory 4Fでは毎年5月に多摩美術大学からワークショップの依頼を頂いております。ありがたいことに今年で4年目。

 

「パーソナルパブリッシング」という授業で、通常の本という枠に捕われず、より自由な発想と創造力で本を作る、という内容。学生さんは1年生から4年生、院生、聴講生も含め学年学科も様々です。

 

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初年度は紙1枚を折って切って本を作るという内容で私が担当。その翌年からは篠原紙工で手加工担当であり、造本家として活躍もしている 新島 龍彦を Tatsuhiko Niijima Portforiow中心に、「ジャバラ綴じ」「冊子綴じ」「糊とじ」と製本の基本をその後の制作にも応用がきくようなシンプルな内容で2年間授業を進めてきました。

 

今年もそのやり方で、「造本家 新島龍彦の授業」として全てをバトンタッチしてもいいかも?と思っていたのです、

が、、、

 

多摩美の講師の方々から生徒の最終制作物に変化があまり感じられず、少しワークショップの内容を変えてもらいたい、との依頼が来ました。

 

お話を聞いていると、学生の創造性があまり見られず、なんとなく課題を提出してしまっているのかも?というように感じられました。

 

うーん、けっこう考えさせられるお題です。

 

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*学生さんに事前に質問を投げかけるため、三つ目綴じで質問集ノートを手作りいたしました。

 

思考の整理、自分が何をしたいのか、を理解することは学問においても仕事においてもこれから生きる上でも非常に重要な部分。

篠原紙工のメンバーともこういう...答えの出にくい話はよくしているのですが、話すことによって少し思考が整理されたりして次に進めることがあります。

 

この感じが多摩美でも出せないかな?と思い、今年はディスカッションと手を動かす実技と2つのワークショップを行なってみることにしました。製本会社だからといって手を動かすだけがワークショップじゃないよね、という考えをもとに。

 

 

 

とはいえ、ディスカッションってどうしよう.....だったのですが。

いくつかざっくりしたアイデアから仲間に伝えていくと少しずつ形になり、自分も新しいアイデアが出てきたりして、

考えは人に話した方が良い、というのはこういうことか。と実感した良いミーティングができました。

 

 

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 *自分にとって本は中身?それとも形が好き?仲間同士でも色々考えが出てきました。

 

篠原紙工では「疑問を持つ」ということを一つ大事にしていて、これって仕事以外でも大事なことだな、と思うことがよくあります。

 

「OOがこの機械でできないのは何故だろう?」「何故、お客さんはこういう形にしたいのだろう?」と、「なぜ?」と問いかけるのは、、、

 

答えが簡単に出ず、立ち止まって考えなければならない作業なのでけっこうキツいですが、常に自分に問いかけるのは自分をより良く生きるツールになる気がするのです。

 

多摩美の学生さんにも「なぜ、このパーソナルパブリッシングを受けることにしたのか?」「この授業を受けてどうしたいのか?」「そもそも本とは何だ?」

と本質的な質問を投げかけて考えや意見の交換ができればきっと制作への取り組み方も変わるのではないか…?ということを期待をして、私達も準備しています。

  

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 *チクチク針と糸で、質問集作り

人の前で意見を発言したりすることが苦手な人も多いかもしれないけれど、この授業をきっかけに出会った人達のコミュニケーションを楽しみながらこの時間、この空間にいるだけでも刺激されるような授業を作り上げてきたいと思います。T

 

 

 

 

「包む」の本質を考える。イベントのお知らせ。

こんにちは

本や紙加工にまつわる少しマニアックなトークサロン「本をめで隊」のお知らせ。

5月15日(火)19:00~21:00 Factory 4F (篠原紙工4階) 

本をめで隊vol.7『 つつむ 』〜 つつむの本質をさぐる 〜 - connpass

 

今回のテーマは「つつむ」

 

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*キャラメル包みの梱包物たち 

 

今までとはちょっと違って本から少し離れますが常に紙と仕事をしている製本会社やデザインに携わる方々の視線から「つつむ」ということを考えてみます。どなたでもご参加できますのでお気軽にお越し下さい。

 

 

さて、

製本会社で「つつむ」ということはとても身近です。

仕上がった冊子本を50部、100部、等々、その仕事の内容によって数も変わりますが、

工場を見渡すときれいに梱包されたものが積み重なっている光景がよく見られます。

キャラメル梱包されたものを見ると留めてあるテープの長さや位置まで、ほぼ一緒にできている...という社員もいます。

 

積み荷姿が美しい

 

どんな仕事でも丁寧さって地味なところににじみ出てきますね。

 

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 *これは私達が梱包に使うために購入するクラフト紙、これもどなたかが、機械が?梱包しているのですね

 

 梱包して重ねて、出荷、という最後の仕上げ作業。一見単純にも聞こえますが、紙で包む際の力加減でぴしっと包めるかどうかも違いますし、スピードも必要、でも荷崩れしないようにしっかり、と要求されることは多いのです。

 

しかも物によってはふんわり梱包の方が良い場合もあるし、それを見極めるのは人であって、その人の仕事ぶりが見えます。

 

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*積み重ねた後はラップで巻きます。これは微妙に角が丸い形で梱包されています

 

私も実際に現場の仕事をしていた時は自分のヘタクソな梱包に残念な思いをした記憶があります。これをできるようになるまでどれくらいかかるんだろう…

なんて思っているうちに工場の仕事からは抜けてしまったので、現場でサッサと梱包する人を見る度に尊敬の気持ちがわきます。

 

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包む作業って小さな世界を作る、秩序立つという感じで包んでいる本人の気持ちもすっきりするのではないでしょうか。最後のまとめ、これまでその仕事につぎ込んできたエネルギーをも無意識では入れ込んでいるのかもしれませんね。

 だから梱包されたものを開けるときってワクワクで嬉しいのかもしれない....!

 

このイベントでどんな会話がなされるのでしょうか?

 

「つつむの本質」哲学的なテーマにも聞こえますが、梱包物は私達の日常に溢れています。このトーク以降、皆さんのまわりの包まれているものへの見方が変わるかもしれません....!

そんなちょっとした日常の変化が楽しめるようなトークサロンになれば良いなと思います。T

 

☆ お申し込みはこちら

factory4ftour.connpass.com

 

会社内での価値観の共有

 

 

製本とは全く関係のないお話ですが

 

働くとは一体なんなのだろう?

一言で答えはでないので働きながら、考えているという感じですが。

 

働くこととは...

 

生活の糧を得ること、

自分の得意なことや才能、能力を発揮する

人のために働く(自分を他者のために役に立たせる)

 

では、仕事とは一体なんだろう?

働くことと似ていますが、仕事を通して人の役に立つこと、人を喜ばせること、

そして周りの人を巻き込んで自分も相手も豊かにすること、

 

こういうことなのではないだろうか?と考え続けています。

(今後変更するかも….だけど)

 

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 仕事は周囲の人を巻き込んで豊かにする、ということを前提として考えると

 誰と一緒に仕事をしたいか、ということを考えるのは非常に重要です。

 

では、どんな人と一緒に仕事をするのが良いかというと

 

やはり、価値観が共有できる人。と言えるのではないでしょうか。

 

 一緒に仕事をしているうちにお互いの違う価値観を交換してより良い関係

になればベストですが、根底の価値観の違う人と一緒に仕事をするのは

おそらく相当大変でしょう。

 

 

人は変わらないし、無理して変えなくちゃいけないような関係性は不自然です。

 

 

自分は、会社は、どんなことを基準に日々起こることを判断し、行動するのか。

それは自分が働く会社を選ぶ時にも重要になってくるのかもしれません。

自分は働く事において、仕事をすることにおいて、どんな価値観があるのか。

 

そして企業側はこの会社は「こんな考えを大事にしていますよ」ということをきちん日々の仕事の中で伝える努力が必要なのだと思います。

 

それがいわゆる、会社の考え方の基準(経営理念)となるわけですが、

この考え方の基準というのが無い...となると、いろんな価値観を持った人が混ざり、

噛み合ずにお互いに不幸な関係になってしまうのだと思います。

 

 

人それぞれの価値観に善悪は無いので企業としてその判断がむつかしい、、、

とは思いますが、

 

私はこれからの時代、「自分はどういうことを大切にしている」ということを個人も企業も持っていた方が生きやすい世界になるのでは?思っています。

 

 

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私なりに、会社内でどうやったら相手の価値観を知ることができ、自分の考えも知ってもらうことができるだろうか、と考えた時、

 

やはり日頃からよく話しをする。

この積み重ねが一番かと今のところ思っています。

(ディスカッションとかミーティングとかじゃないですよ)

人によって響くことやタイミングもあるので根気よく続けることが必要ですが。

 

お互いの日常のさりげない出来事をよく聞いて少し掘り下げて

相手に質問してみたり、逆に自分も話して相手から意見をもらったり。

 

ちょっとした新しい気づき、発見、良い変化があると人は嬉しいものだと思います。

そこからお互いに尊敬の念が生まれ、相手を受け入れる器も広がると結果、広い視野で物事を考えられる人の集まりになるのかな?と思います。

 

とはいえ、まずは自分。

心身を整え、学んだことや体験した本当の情報をこれからも社内、

ブログでも発信していこうと思います。

T

 

 

 

 

変化との付き合い方

今まで篠原紙工で頑張ってきた電子レンジがずっと不調で、ついに買い替えました。その電子レンジがきた日、社員の一人が嬉しそうに『おお、新生活っぽい…..』と一言。

 そうか、そんな時期なのか。

何だかその彼女の一言が心に残ります。

 

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*新しい電子レンジ、冷蔵庫は昭和な感じの緑...です 

 

新生活、春。

 

以前にも書いた記憶がありますが、私はちょっと春が苦手です。気温差も激しかったりするせいなのか、なんだかソワソワ、この気持ちが何なのか。もしかしたら子供の頃、学校のクラスが変わったりして馴染むのに時間がかかってたからなのか? それもちょっと違う気もして、

正直なところ自分は変化に対して恐れはあまり無い…と思っていたのですが、私の心奥底は変化を恐れていて、それが今までの人生の記憶と結びついてこの春先のソワソワ感に実は繋がっているのかもしれない。そんな事をぼんやり考えました。

 

自分の内心というのは案外に分からないものです。その自分の中の記憶や感情の慣れをどのように上書きしていくべきか?

  

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*本にまみれた旧電子レンジ。今までありがとう.....

 

私は篠原紙工の中でもFactory 4F という肩書き不明の社員でして、お茶を入れたり、掃除をしたり、話を聞いたり、と身の回りの雑用と言われそうな事をしているのですが、そのポジションから見えるこの会社の変化というのは結構大きく、それは日々の積み重ねの結果なのだろう、と思います。 

 

私は工場の機械の扱いや実務では直接変化を起こす事はできませんが、社内での会話の内容、時間の使い方、言葉遣い、挨拶、食のこと、健康、お金の使い方、いわゆる日常の行いを意識すれば結果仕事の意識変化にも繋がるものと信じてます。

 

今まで存在していた、当たり前を見直し、崩してまた新しい当たり前を作って毎日の中にちょっとづつ取り入れて行く。小さい変化ってそうやって起こっているのかもしれません。そして、そういう地味な事にこそ日々意識していかない限り、大きなステージというのは変わらないのでしょう。それは個人レベルでも会社レベルでも。

 

人は慣れている方が楽ですから変化を恐れ、嫌います。しかし、恐れよりもステージが上がることの何とも言えないあの全体的な幸福感を実感できることが積み重なればこの世を生き抜いて行くのはきっと楽しくなるはずです。

 

日々の小さな変化をどう作り上げて行くか、そのためにまずは自分はどのように在りたいか、在るべきか、そんなことを毎日考えています。T

 

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*私はつい下をむいて歩きがちです。お金もよく拾います。でも明日は歩き方や姿勢により意識してみます。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふわぼろノート」のストーリー

こんにちは。Factory 4F では今どんなモノが売られているか? (2018年、3月現在)

 •印刷加工連の文具すべて

•紙加工見本 4F BOX

•篠原紙工で制作したクラムボンさんの紙ジャケットCD

•影で遊ぶ仕掛け絵本、モーションシルエット

•ふわぼろノート

 今日は『ふわぼろノート』をご紹介したいと思います。

このノートのストーリは2017年の4月に印刷加工連で『紙博』というイベントの参加がきっかけでした。(この『紙博』手紙舎さん主催なのですが、もんのすごい!来場者数だったそうです。数千人…とか?すごい。手紙舎さんのパワー)

 

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*ただの白いノート、ですが、、、

 

 

「紙文具の駄菓子屋」をコンセプトにチープで手に取りやすい文具をたくさん作ろう!という事になりみんなでアイデア出しの時、篠原紙工の折り担当、岩谷くん(造形大出身)がふと、ある束見本を見つけました。

 

ファイバーラッファー(ミーリング)加工されている束見本。

………ファイバーラッファーって?

 

ここからちょっと製本の事を説明。

 ファイバーラッファーとは無線綴のPUR機械で施される加工の一つで、簡単に言うと、本の背をガリッガリと削り、糊が浸透しやすくする加工のことです。「ファイバー」というくらいなので削り具合がとても細かく、紙という素材の断面がきれいにみえる感じに仕上がります。

 

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そして無線綴じPUR機の「PUR」とは糊の種類の一つなのですがとても強度が高く、少しの量でもぴったりくっつき、糊を引く量が少なくていいので本の開きが良い!という特徴があります。そのため表面の削り具合があんまり粗いとがっつり糊が入ってしまうのでPURの糊を使用する際はファイバーラッファーで細かく繊細に削る必要があるのです。

 

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*このように無線綴じには背に糊が浸透しやすいようにミーリング(削る)という加工が基本、施されています。

 さて、ストーリーに戻ります。

 そのファイバーラッファーは通常は本の「背」だけに施しますが、その束見本は小口にも天地にも削られた加工が入ってて全体的にモサモサした紙の固まりのような感じでした。

 これを見た岩谷クン…本って通常はカクカクしてて滑らかでってイメージがあるけど、

「従来の本の質感から離れた物体」として出してみるのも面白いかも思い、表紙にはヴィベールというフワフワした特殊用紙を巻いてみました。

 

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すると、仕上がりは何とも質感が特殊で優しいノートになりました。ファイバーラッファーだけの本の状態だと削られ感が目立ちますが、表紙にヴィベールを巻くと一気にフワッと、まるで綿毛のようです。

 

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そして表紙のフワフワ感と表面のボロボロ感で『ふわぼろノート』と命名されました。

そのままかも。

 

紙博ではたくさんの方が手に取り、お買い求めくださいました。ありがとうございました!

 

「ふわぼろノート」のストーリーの紹介でした。

 

また!

T

 

自分にとっての基本とは?

先日、株式会社 東北紙業社の現社長である小野幸弘さんから今までの会社の歴史や先代のお話を伺う事ができました。

 

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東北紙業さんのHP

tohoku-shigyosya.co.jp

 

東北紙業社さんは複雑な案件でも相談にのってくれる頼もしい抜き屋さん。両国で家族経営、ベテラン社員さんがいて、という典型的な町工場という感じの会社。中に入ると古そうな機械とたくさんの部品や抜き型に囲まれて黙々と職人さんが機械を回していました。

 

社長さんはキリリとしていて、無口かと思いきや、これまでの歴史やどんな考えを持って仕事をしているかを積極的にお話ししてくださいました。

 

先代が開業し、戦争や高度経済成長も通り抜けて今に至っているのですが周囲の同業者は次々と廃業し、これからはもっと厳しい業界である。と現状をきちんと受け入れている姿が見えました。しかし聞きながらそれでもこの東北紙業社さんが生き残っているのは何故だろう?そんな事を考えながら聞いていたのですが恐らくその答えはシンプルに真面目であることか?と思いました。

 

頑固さはあるものの、新しい技術や方法を研究し仕事を楽しみ、他の事業に手を出したり脇道しないで抜きの世界をとことん追求し、一本筋の通ったご自身の判断力をきちんと持っていること。

 

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会社を経営している方なら組合などでお金を動かす事もあり、そこにも品位というものが表れると思います。しかしつい心が動いてちょっと横取りしたり、という事だってこの世にはたくさんあると思います。

そんな過去の出来事も話してくれましたが小野社長はそれに対して『どんなことでも簡単に横取りしちゃいけない。それは技術も。先代もそういう考えの人だった。』とシンプルに一言。組合の仕事なら全体がどうよくなるかを考え、自分の抜きの仕事ならお客さんの要望にどう技術を提供できるかを考えるのが第一。

 

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*紙1枚分の誤差も手で触ったら分かるそう..... 

 

聞く分には当たり前のように聞こえますが、つい自分の都合の良さだったり、目の前に起こっていることに捕われてで大事にしている事がみえなくなってしまう方が多いのではないでしょうか。自分の中できちんとルールを持つという事の大切さを改めて気づかされました。

 

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真面目であることは自分の中の基本がしっかりしていることかもしれません。それではその基本とは一体なんでしょう?

 

恐らくこれは人によって違うと思いますがその基本を自分で作り上げてそれに合う行動もしていればそれがその人らしい魅力的な真面目さになり、結果、自分と違う考えの人でもそれが信頼というもので繋がれるのかもしれません。

 

小野社長とお話をした後、今一度、自分の基本を少しづつ作り直していきたいと思いました。

 

タブチ