体験はいつも想像外 〜わたしがCHANELと出会ったら、〜

 

京都工芸繊維大学の院生の方とCHANEL による展示会、

「STEP IN  CHANELーわたしがシャネルと出会ったら、」

来客者に配布する冊子を篠原紙工で作らさせていただき、

そのご縁で先日、営業担当者と私の2人で展示会に足を運んできました。 

 

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世にある様々なブランドに対する興味の有無は人それぞれではあると思いますが

世界的に知られている一流ブランドの世界観に触れられるチャンスがあるので

あればどんな形であれ体験してみることは視野を広げる良いきっかけになる

のではないか?と思います。

 

 

 

ブランドの名前は知っていてもその背景にどういう歴史や哲学があるかまでは

知らないことの方が多いのではないでしょうか?

私たちはその根本をスキップしてブランドの表面的なところだけをつい

見てしまいがちですが、長く不動の地位を築いているのにはそれなりの理由があり、

そこから私たちは何か学びや気づきが得られるのではないかと思います。

 

 

 今回、「CHANEL X 大学院生の展示」と聞いてシャネルが芸術系の学生を支援していることにも興味が沸きましたし、

シャネルが学生さんと協働したらどんな世界観が生まれるのだろう?

一流ブランドが学生の感性をどう導くのか、

そして若い学生はシャネルにどんなアート作品を提案し表現するのか?

私はそんな好奇心に突き動かされました。

  

 

真っ白な空間の中にシャネルの存在と自分を重ね合わせて

自分がシャネルの一部になるような作品から始まり、 

後半ではシャネルの服飾が生まれる影に隠れたストーリーが綴られ、

作品を見る側は自身の人生の影の部分を思い出させるようなものもありました

 

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*CHANELのシンボルマークの形をした空間。展示されている1着は着ることができます。

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来客者が作品を通して展示者側にメッセージを残すこともでき、

これまでの私の中のシャネルのイメージとは異なりすごく親しみを感じました。

 

2つのインスタレーションから成る展示空間で、規模も大きすぎず、小さすぎず、

ブランドの真髄がミニマルに凝縮され、シャネルのことを知る第一歩にふさわしい

展示会でした。

 

きっとシャネルと学生達はお互いの感性や思考を交わし合い、深く関係を作り上げ

てきたのだろうと想像します。

 

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ツイードの端切れが壁一面に貼られていて来客者は好きなものを取りその

壁にメッセージを書き、選んだツイード生地はポケット付きの冊子の中に入れて持ち帰れます。

 

 

そしてやはり、一流ブランドならではの細部にまで渡り徹底して一つのものを

作り上げるという完成度の高さが伝わってきました。

まるでちょっとしたシャネルの洗礼を受けたような気持ち。

 

 

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展示会場を出ると直接シャネルの通常のブティックに繋がっており、

そこには数多くの商品がずらりと陳列されていました。

 

 

正直、とたんに現実世界に戻ってきた感じがしましたが、

ブティックに並んでいる全ての商品の原点はさっきの展示空間の中に表現されていた

と思うと商品の価値もまた違って見えてきます。

 

篠原紙工で製作した冊子の内容を読んだだけではシャネルや学生が何を表現したいかがここまで心には届かなかったと思います。

やはりその空間に行き、五感を使って体験をするということは理解度が全く違います。

どんな小さなことでも実体験を積み重ねることって大切だなと改めて学びました。

 

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*展示の冊子。ツイードの端切れをポケット付きの表紙に差し込むことができます

 

日常で高級ブランドはあまり縁がないと思っていた私ですが、

たまには美術館に行くような感覚で銀座で立ち並ぶ一流ブティックの

空間に入りその世界観から自分が何を感じ、何に対して自分の心が動くかを

観察しに行ってみるのもいいなと思いました。

いつか手に入れたいと思う憧れの商品が見つかったらそれこそ日常が

豊かになりなりそうです。

みなさんも視点を変えてブランドの世界に触れてみるのはいかがでしょう。

T

 

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ツイードの生地を入れ冊子完成!

 

過去の3S(整理・整頓・清掃)活動を振り返ってみる

 

今このブログを倉庫で書いています。

前回に倉庫の片付けをコツコツとしているとブログに書いたのですが

それがひと段落し、ある程度の空間が倉庫に生まれました。

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見た目の美しさにおいてはそんなに変わった様子はないけれど、

物が減った分だけ動きやすくなったのと、

ざっくりでも物量が把握ができたおかげで日々の片付けの際に

途方にくれる恐怖感みたいなものから解放された気がします。

 

今までは社内の誰かに『OOってどこにあるっけ?』

と聞かれてそれが倉庫だと行くのも億劫だな...なんて思っていたのが

今では倉庫から必要な物をを出すのが嫌ではない。

 

空間があるって素晴らしい。

空間ができたおかげで小さな机と椅子を置いてこうして

ブログを書いてみようかな、なんて思えるのだからすごい。

倉庫にいると機械音との距離感もちょうどよく悪くない。

(仲間の顔が見れないのがちょっと寂しいかな...)

 

3S活動(整理、整頓、清掃)に取り組んでいる企業はたくさんあると思う。

それが実行できず悩んでいる企業もいると思う。

 

篠原紙工もかつては思うように動かず、一部の社員だけが動いていて

イライラしていた時期もありました。

ただ、イライラをぶつけても社内の人間関係が悪くなるだけで

篠原紙工の思う理想や幸せのあり方から遠ざかってしまうばかり。

なんのために3Sやってるんだっけ?と考え込んだ時期もありました。

 

結局のところ、整理・整頓・清掃はごく当たり前の日常のとして地道に続けつつ、

それよりも自分たち会社がどういうふうに在りたいか、

ということにフォーカスし、その考えを社内で共有した方が、

自然と3Sの意識も社内全体に広がるような気がします。

 

そして整理・整頓・清掃が思うように行き届いてなくても

社内の人間関係に息詰まりがなく、簡単に言えば程々に

仲良く気持ちよく仕事をすることの方が大事ということ。

 

それを基本により良い社内環境や人間関係づくりをしていきたいものです。

 

3Sが行き届いてるから人の意識が変わるのか、

人の意識が変わるから3Sが整うのかに、

どちらの順番でも正解だと思うが最終的にはどちらも大事で

両面が鏡のように姿を照らし合わせて会社の成長に繋がるのだと思う。

T

 

現代アートの思考筋力をビジネスに

 

先日、私が所属しているコワーキングスペース co-lab墨田亀沢:re-printing

で開かれたある勉強会に行ってきました。

メンバー同士で気になるテーマを提示し、それについて話し合うという勉強会。

今回のお題は「現代美術館の解説(キャプション)を解説する」

「作品解説」の解説。 

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現代アートと遠い人間には意味がわからず、もう少しわかりやすくしてほしいよね」

「わからない人は門前払よ、と言われている気がする....」

はたまた「こんな難しい解説、美術館運営の裏側に何かあるのでは?!」

とっても興味深くも時々笑える面白い意見が飛び交っていました。

 

私は現代アートにそこまで興味があるわけでもなかったのですがいろいろな縁が重なり海外の大学院で現代アートを学ぶ機会に恵まれ、その2年間はアートを意識しながら生きるという生活を送っていた時期がありました。

 

しかし現実は厳しく、理解不可能な英文とたとえ母国語であっても意味のわからない内容、理解できない自分にとことん嫌気がさし、深い落ち込みと孤独を感じていた時、

「そもそも理解するとはなんなのか?」という問いが頭の中から離れなくなりました。

頭で論理的に理解することが全てだと思い込みすぎなのかも?

開き直りか、逃げ.....とまでは言いたくないけれど、分からないことをとことん味わってみるという状態を、それでいい、と自分に許可してみるべきなのか?

私たちはとにかく物事や起こりうること、現象をなんでも論理的にわかりやすく、そしてすぐ答えを出そうとしすぎなのではないだろうか?もっと体と頭と心の全ての感覚で理解するアプローチがあってもいいのか?しかし感覚に頼りきっては学問にならないのでは?迷宮に入り込んでいくような感じです。

 

そんな風に自分と現代アートの付き合い方を模索しながら言語化なり作品としてアウトプットしていました。ある意味とても自由で難しい課題に身を委ねる感覚だったような気もします。分からないものであるという前提でアートと向き合い思考筋力を養っているような感じでしょうか。

 

現代アートは美だけを表現するのとは違い、いろんな角度から私たちに課題を刺し、時に残酷なかたちであったり無の状態のようであったりと非日常へと導いてくれます。ある社会問題が元に創られた現代アート作品も見ているオーディエンスはその問題の奥へと引きずられ、問題以上の本質に触れることもあります。

 

このように、私の中では現代アートの美術館というのは日頃考えたことのない、感じたことのないことを考えに、感じに行く場所になっています。解説はあくまでも補助で自分がなにを考え感じるかをまずは第一優先に意識を集中させ、その美術の世界観に入り込んでみる。

非常にエネルギーを要する場所ではありますね....。

 

 

こんなアート思考筋力は鍛えても経済中心の社会ではそんなに役に立つこともないかな、とずっと思っていましたが、この勉強会の中で今回のお題を提示した方が非常に興味深いことをおっしゃっていました。

「これからビジネスの世界ではこのような現代美術を読むような感覚または思考能力が必要な気がする。ただ単に物事を効率化して、こうすれば、こうなる、というような法則的考えに限界を感じていて。だから少しでも美術に触れてみようと思った。」と。

 

私とは全く真逆のビジネスの第一線で活躍されている方が現代美術をそういう風に捉えるとは大変興味深く、そして分からないことを素直に学ぼうとする謙虚さにも心を打たれ、この意見を聞くためにここに参加したのかもと思いました。私の中でも今後なにかのヒントになりそうです。

 

ここ数年、不思議なのですが私は美術館や展示会場に入るとものすごい疲労感に襲われるようになってしまい、しばらく美術館へは足を運んでいないのですが今回の勉強会で久々美術館へ行ってみようかなと思いました。T

 

NHKの番組「ひるまえほっと」に出ます

先日、NHK 総合「ひるまえほっと」(月曜〜金曜 午前11:05〜11:54 放送)という番組が取材をしに来てくださいました。

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平成から令和に移り、紙幣も変わるということから番組が印刷業界に注目。

番組の内容は日本の最新印刷技術の紹介だけでなく、デジタル化が進み、紙媒体の商品が減っている中おもしろいアイデアと創意工夫で製品を生み出している印刷会社にもフォーカス。

 

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篠原紙工は製本会社。

どうやって、篠原紙工とNHKがつながったか?

 

みなさん「大喜利印刷」はご存知でしょか?

実は篠原紙工はこの「大喜利印刷」という

Twitter上で誰かの紙や印刷にまつわるつぶやきに全国の印刷屋さんがこたえる、というユニークな企画に参加しており、社内では何だか良く分からない謎プロジェクトが動いているね、くらいだったのですが、

NHKの方々はまさにこの「大喜利印刷」を見つけその流れで篠原紙工に電話で問い合わせてくださり、テレビ取材が入る事になりました。

oogiri-insatsu.com

 

篠原紙工の工場での仕事の様子、紙加工の魅力、大喜利印刷に参加しての変化、などインタビューを受け、撮影は2時間くらい?したような記憶がありますが、

きっと放送されるのはほんの少し。この特集コーナーも15分枠のものらしいので、一瞬だけかも?

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しかし!NHK総合で紙業界のことが少しでも紹介され、全国に放送される事は嬉しいことです。

もしこの時間帯で見れる環境であったら是非ご覧ください!

録画予約でも!T

 

 

■番組情報

5月15日(水)午前11時05分~正午  https://www4.nhk.or.jp/P2542/

『ひるまえほっと』NHK総合テレビ 1CH、関東甲信1都9県エリア 

(番組後半の11時30分以録画の際は番組表が前半・後半で分かれておりますのでご注意くださいませ)

 

 

www4.nhk.or.jp

 

片付け マインドセット

4月になり篠原紙工では4人の新しいメンバーも加わり心機一転。

ずっと気になっていた倉庫の片付け。(きっと他のメンバーもそのはずでは...)

ついに時間を作りました。

 

篠原紙工の4階倉庫には今までの手がけてきた本やチラシ、冊子、その他にも

仕事に使う道具、文具の在庫、部材、生活消耗品、梱包材、、、、、

あぁ、このまま書き続けるだけでこのブログが終わりそう...。

 

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ダンボールが身近な仕事仲間のため、つい箱に入れてしまい、結局何が入ってるかわからず数年...

ということも。今あるモノが見えるという状態だとベスト。
 

 

これらのモノ達が場所を埋め尽くしています。

営業メンバーの "いる / いらない" の声を得ながらコツコツ、現在進行形。

 

私は片付けや掃除はわりと好きな方で苦行ではないのですが、

会社の大量の制作物やモノ達に囲まれていると時折、途方もない気持ちに襲われます。

片付けをしながら、過去の仕事を思い出したり、自分が入社する前の篠原紙工のことを

想像したり....。

 

商業冊子の内容を見てこれがどんな人たちの手に渡ったのだろうか?など考えながらつい冊子内容の写真や文章を読み入ってしまったり(個人宅で例えると捨てるマンガをつい読み込んでしまうような...)

片付けをしながら思考は忙しく、エネルギーはかなり吸い取られます。

あぁ...始めたのは良いけれどこの片付けは着地するんだろうか、と弱気にも。

 

会社のモノなので自分判断で勝手に捨てられませんが、それでも強く私が主張したいことは片付けってモノをまずは捨てない限り何も始まらないということです。

 

これは引っ越しが多かった私の経験から学んだことです。

(情けないかな引っ越しのたびに何度自分とモノと向き合ったことか...。)

 

捨てずにただモノを移動してキレイに並べ直すのは片付いた"風"になっただけ。

全体の量を減らさない限り、時間と共にモノは溢れかえり、片付けたはずなのになんだかスッキリしない....と振り出しに戻ってしまいます。

 

実際に篠原紙工の倉庫にも不必要なモノはたくさん発掘され、

製本を依頼してくださったお客様や協力会社さんたちに感謝の念を心で伝え

本や冊子たちをおさらばしたところ(涙)

モノが無い空間ができました。

 

その空間を見ると心が洗浄されたような気持ちになり、

その何も無い棚を見てしばし浸っていました。

 この何も無い空間こそが大事なんだろうなぁ...すっきり、心地よい....と。

 

情報やモノに埋もれている方が普通の現代ではこの気持ちになりにくいかもしれません。

だからこそ意識的に日々マメな片付けは取り入れたいものです。

 

何もない空間、いわゆる目から入る情報が少ないということは余計なことを考える必要がなく、その結果、気持ちも落ち着くのではないかと私は考えております。

 

 

とはいえ空間があるとつい埋めてしまいたくなるのが現代人の習性のよう。

仕事をしていれば、生活をしていれば、(生きていれば)

モノはまた増えます。

 

特に、篠原紙工は大量生産の現場。

モノが増えるのは簡単。

片付けをしながらあとはこの片付けの習慣をどう続けていったら良いだろうか、

そんな次のことを考えています。

 私一人の問題ではないのでなんとか周囲の仲間とこの考えを共有しないといけません。

 

片付けは一度したら終わり、ということはなく延々と日々続くもの。

誰かがその空間を管理をし、その時々に応じたメンテナンスをしなければならない。

生きていく上でのひとつの基本仕事のようにも感じます。

 

ただ、一生関わっていく片付けという仕事があるのであれば、その時間の割合はなるべく少なく済むようにしたいものです。

会社でも個人の生活でも。

倉庫片付けの日々はまだ続きます。 T

 

篠原紙工のお昼の時間

みなさんお昼ってどんな風に過ごしているのでしょう?

私たちはここ最近、実験的に木曜日にカレーを作っています。

 

篠原紙工では1階、2階、4階と各自好きなように好きなところで食べていますが

今月初め、普段は2階で(または公園)過ごしている山田くん(PUR担当)が

「3月から時々お昼は4階で食べようと思って、」と上がってきました。

 

たわいもない話の流れから私が半分冗談で「毎週木曜はカレー食べるとかやってみたら面白いかもね。」と話した途端、彼のハートに何かが突き刺さったのか?

「いいですね!やりましょう!」と。

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*PUR&断裁 山田 歩くん です。

 

できれば料理する人が毎週変わればベストなのですが、さすがに現場の仕事を抜けることはできないので、どうなるかな〜?と思っていたのですが

山田くんはスケジュール管理しているスタッフと相談してカレーを作る時間を確保したようで、第2回目のカレーの日は彼が作ってくれました。

 

 

人はやってみたい、と思うことはどんなことをしてでも自分から動くものですね。

 

私は現場の仕事との両立を心配して何度も「お昼、できそう?」なんて言ってしまいましたが、「大丈夫です、やります。」とサクサクと進めてくれた彼の手際の良さに感動しました。

 

お昼は一人になりたい、ゆっくりしたい、スマホでニュースやゲームをしたい、など人それぞれの時間でもあるので、ゆるーく楽しいことが時々できればいいな、くらいには思っているのですが3回!は続けることができました。

 

3回目の時、ふとテーブルに並ぶ人々とカレーを見て、

なんだかとても美しい!

秩序立っている!

白いテーブルに白いお皿で並ぶカレーたち。

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普段も4階では何人かでお昼を食べているのですが、なぜだかカレーの日

会話もより自然に出てる気がします。

同じものをみんなで食べる行為には想像以上にコミュニケーションが円滑になる効果があるのかもしれません。

(同じ釜の飯を食う、とはこういうことか?)

 

それだけでなく社内で誰かが作る、良い香りも漂う、みんなが集まってくる、

これも人の心を和ます効果があるのだろうな、と思います。

 

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ひとまず3月は続けよう。

約束したからには今週も誰かが作る....はずです。

 

木曜日の午前中、篠原紙工へ打ち合わせに来るお客さん、

カレーの香りがする空間になると思いますが、おゆるしくださいませ!T

働き方改革関連法は意識改革の小さな一歩

 

週末、テレビのニュースで来月から施工される働き方改革関連法にまつわる話が耳に入ってきました。内容は有給休暇の義務化について。

パートやアルバイトを含め従業員に有給休暇を5日以上取ることがすべての企業に義務付けられ、違反した場合は罰則として会社が30 万!を課されるおそれがあるとのこと。

そしてこの法案において中小企業の経営者からの相談が相次いでいるという情報が流れた途端.......テレビの画面はなにやら見慣れた風景が映りました。

印刷や断裁をしている現場のシーン。

 

そのニュースではある印刷会社の経営者さんを例にこの法案についての問題を取り上げていました。この義務化に会社として対応仕切れないおそれと不安があるようでした。

「一人当たりの労働時間を減らしていくという考えもあるけれど中小企業は難しい。休みを取らせたくても人材が足らず、仕事が回らなくなる。」

何より一番の問題は急な印刷物のデザイン変更や入稿の遅れなどに対応しなくてはならず計画的に仕事が回らない、休みが取れないという深刻な問題があるようでした。

 

このような問題は印刷業界に限らないようで、このニュースではあるシステム開発会社も例に取り上げられていました。

この会社ではひどい時は営業さんが1人で30件も抱え込まなければならず、休みを取る余裕が全くできず、その上こちらも先方の内容変更などで振り回されることが多々あったようです。

これを改善するために、1案件につき社員数人で内容を共有し代わりができるようにしたこと。そして振り回される取引先とは仕事をしない、と社長さんが決断したとのことです。

このシステム開発会社の社長さんは「結果、お互い大切にし合える会社さんだけが残り良かったことの方が多かった。」とコメントを述べていらっしゃいました。

 

数多くあるニュースの中の一つ、とはいえこの法案で悩んでいる中小企業の代表として印刷業界が出ていたのはちょっとショックでしたが、このニュースの中には印刷会社だけでなくその前後全てに携わっている会社との関係性、連携が大きな問題のように見えました。

 

まさに篠原紙工でも内容や予定変更は日常茶飯事、この印刷会社さんが悩んでいる問題は私たちにも関係することです。

弊社で予定管理をしているスタッフも「また内容が変わってしまった....。予定を組み立てても崩される繰り返しで何やってるのか分からなくなってくる...。」と涙を流しよく落胆しています。私もそれを聞くたびにこの問題はどうやって軽減することができるのだろう、と頭を抱えてしまいます。

 

先に出たシステム開発会社さんのようにに『取引しない』という決断はとても勇気が必要だとは思いますがそれくらい『自分たちのやり方』というのを表に出していかないと結局のところ疲弊ばかりして最終的にはうまくいかなくなるのかもしれません。

有給休暇の義務化、ということを通して各企業の努力だけでなく、印刷・紙加工業界全体こそが意識の変化をしなければならない時がきましたよ....。とニュースに言われているような気がしました。

 

もう少し広く考えるとこの問題はよく言われる国民気質の問題にまで及ぶのでしょう。

日本人の勤勉さ、相手に合わせる、上下関係を大切に、そして調和を重んじる、この気質が日本を支えているとも言えますがもう少し....ネジを外してもいいのでは?と個人的には常に思います。

 

日本では有給休暇の消化率が約50%を切ったまま。世界的にみてあまりにも低すぎるそうです。この義務化が単に表面的に先進国のあり方として恥だから義務化に従う。

国が言うんだから仕方ない、でも現実は無理。という諦め姿勢ではなく、国が義務化というある意味、強制的な処置をする背景を今一度各企業が考えて自分達の在り方、働き方に落とし込んでいかなければならない時が来たのだろうと思いました。T

 

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*焦った時は茶を一杯飲む習慣を。