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CDアルバム「モメント e.p.」clammbonさんとの共同制作

スタッフが綴る4Fな日々

昨年のことですが、いつもお世話になっている箔押しで有名なコスモテックさんのFacebookである方が写っている投稿写真が目に留まりました。「…ん?コスモの青木さんとそのとなりはクラムボン?」

【 解禁 】 クラムボン 原田郁子さん ご来社! そのワケは!? : ようこそ!行列のできる『箔押し印刷工房』へ

 そうです。ミュージシャンであるクラムボン原田郁子さん。

 箔押し?もしや自分でCDジャケット制作をしている?細部にまで自分たちのセンスをきちんと表現するアーティストだとは思っていましたが、工場の現場に来るってすごいなぁ…。なんて思ったのを今でも覚えています。

この調子で篠原紙工にも何か縁があるではないか?そしたら本当に縁が巡って来てクラムボンさんとお仕事をさせていただくことになりました。

 

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* 初期段階の打ち合わせ、はじめはデザインがちょっと違いました

 クラムボンはメジャーレーベルから独立し、自分たちのトロピカルというレーベルからアルバム第一弾としてCDを発表するという、そのCDジャケット制作を光栄にも篠原紙工がやることになったのです。しかもそのCDはライブ会場で手渡し販売!オーディエンスに対してとてもあたたかい心が感じられます。

 最初にクラムボンの原田さんとマネージャーの松見さんが篠原紙工に打ち合わせに来た時、とても自然な雰囲気の方々というのが第一印象でした。私にとってはデビュー当時の個性的で強い印象でとまっていた原田さんでしたが、リラックスした感じのすごく素敵な女性でした。

 

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* 原田さんのドローイング。線と鉛筆の柔らかさとがピタリとはまる絵です

 

クラムボンというアーティストは私が20代前半の頃、原田さんのルックスや声も含めて音楽好きの女の子にはもちろん、バンドマンの男の子にも人気で爽やかなバンドというイメージが私の中にありました。しかしその後、原田さんが他のミュージシャンと共同制作で活躍を広げている様子や雑誌やメディアでの表現や言葉を見聞きするたびに、ふんわりした感じとは違う強い芯があるアーティスト、という印象に私の中で変わっていました。

 

 そして今ではCDジャケット制作の打ち合わせにご本人が工場へ来るくらいですからきっとそこに至るまでにいろんなことがあったに違いない、と勝手ながら思いました。私はクラムボンさんが自分たちの選択でインディペンデントに踏み切ったその心意気にとても興味が湧きました。

 

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* CDジャケットに「clammbon」と箔押しされたタグをミシンで縫い合わせる仕様。そのタグ色えらび 

 Factory 4Fのポジションから見ていると製本業界は印刷会社さんからの下請けという図式で業界全体がその流れをずっと黙って引き継いでいるというのをしばしば感じます。

 しかしその図式だけでは先は暗く、変化を待っていないで自分たちの価値は自分たちで発信していかなければ新しい世界は開けないという時代がきており、Factory 4Fはその一つの実験の場として存在しています。

  

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* 試作品の製作風景、手作業です

 ミュージシャンはメジャーという枠では音楽に集中できるという良い面もあるのかもしれませんが自分たちが大切にしたいこと、表現をよりダイレクトにオーディエンスに伝えたいと思うのであれば枠から抜け出して自分たちで活動を広げた方が新しい世界につながる、それはもしかしたら私たち製本業界と同じことなのかもしれません。

 

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*タグに箔押し!そして抜きはいつもお世話になっている東北紙業社さんにお願いしました

 

 世界は全く違えども、クラムボンさんとはそういうエネルギーの方向性が同じだからこのような縁が巡ってきたのではないかと思っています。

 

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*ゆっくりと小さな声で会話する原田さんのトーンが心地よい打ち合わせでした

 

ミュージシャンと紙加工屋が一緒になってCDジャケットを制作する、あまり聞いたことがありませんがこれからはこのような動き方がどの業界でも増えるのではないかな、、、なんて想像します。

 作り手のアイデアや心を制作現場の人間が直接聞いて形にする。考えればシンプルなことなのにどうして今まではそれができなかったのだろう?もちろんそこには仕事上の事情もあるでしょうが、したくてもなかなかできる環境でなかったといえるでしょうか。

 

 

 

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*タグをミシンで縫い合わせています

 よくいわれるように今はテクノロジーのおかげで個人レベルでの発信がしやすくなった結果、良くも悪くも「もっと正直に思いや考えを表現していいのかも...」と感じる人達(会社)が増えてきています。

その良い面を考慮すると自然なかたちで自分たちが良いと思うことを素直にやるのは素晴らしいことで、発信する必要もあると思います。

しかしその半面、個人も会社も自分の格となる美学、哲学を常日頃考え、それを常に見直して更新していく力が必要なのでは?と考えます。

 

篠原紙工、Factory 4Fもまさにまだまだ発展途上。ただ発信する手軽さに甘えるのではなく足元を見て中身のある発信ができる会社を目指したいです。

  

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*工場内での量産風景!

 今回は クラムボン さんという世に知られた方の例を取り上げてブログにも書かせていただきましたが、このようにいつもお客さんの声が現場に届きやすい、聞きやすい仕事ばかりではありません。先ほども書きましたが、新しい価値やユニークな技術を表向きに出していくことも大事ですが、同時に製本会社の基本として大事なこと。紙媒体で情報を安心してお客さんに届ける信頼性、情報をより伝わりやすくするための紙加工であることを忘れずに日々の仕事で精進です。

 

自分の日常で例えると…たまにある大きな喜び、その時は多いにその喜びを噛み締めていいけれどそこにいつまでも留まらず基本に戻って日々のもっと小さな喜びや成功を積み重ねる楽しさにより価値を置く、という感じかな。

 

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 *篠原紙工のミシン担当:佐藤 絵弥さん、量産を一人で乗りきりました!

 さておき、

このCDジャケット制作の経験が原田さんにとって紙の魅力、製本世界での表現の楽しさを感じるきっかけとなってくれていたらとても嬉しいです。そして原田さんの次の創作活動の何かに繋がってくれればもっと嬉しい。

  クラムボンの原田さん、マネージャーの松見さん、ご紹介いただいたコスモテックの青木さん、東北紙業社の加藤さん、その他ご協力いただいた方々、ありがとうございました!

 

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