自己規制を外して仕事をしよう、とタイニイアリストークから学ぶ
こんにちは Factory 4Fのタブチです。昨日は4F編集室トーク『小劇場タイニイアリス』ができるまでのイベントで4Fの沼上編集長を司会にALL RIGHTの髙田唯さんと芸術新聞社の初野友憲さんをゲストにお迎えしました。
私は演劇のことは詳しくないのですがアングラな世界に踏み込んでしまう気持ちは何となく分かる気がします。なんでもござれ!の中から実験的な内容であったり、その中から本質をついているような本物が生まれたり、色々なものが生まれる渦のような世界、というイメージですが。
トークの内容をまとめるほどの編集力は私にはないので、印象に残ったお話を少し。
司会の沼上編集長の小劇場タイニイアリスを愛する気持ちが大きく、この本の編集を仕事というようにはとらえてない様子でした。タイニイアリスをどう伝えたらより魅力が伝わるか、好きなものをどう伝えたら良いか、というシンプルさが発せられる言葉の中にありました。編集をお仕事にされている沼上さんでさえも(だから?)伝えることの難しさを感じているのですね。自分に置き換えると伝わってないことの方がほとんどだと…。それをどこかで承知している部分もあるのですが、ちょっと悲しくきこえるかもしれませんね。
話はデザイン目線にかわり、とてもインパクトを受けたトークがありました。タイニイアリス本の中には歴代の演劇チラシが羅列されているページがあり、私はそのページが面白いなぁ、と思っていたのですが、ALL RIGHTの髙田唯さんが80~90年代までは良いデザインがたくさん合ったけど、2000年以降あまり良いデザインがなくなり(ナんと!)その背景にはコンピューターで誰もがデザインを簡単にできるようになったから、というのが一つの原因で目の前にある仕事(デザイン)に魂がなくペッペと楽にできてしまうようになった。とお話していました。
どんなことにでもよく言われますが、楽に誰でも出来るようになる為に私たち人間はいろんなものを開発し発展してきたわけですが、結果面白くないものになってしまうのは何やら皮肉なことだなぁと。
そしてふと思い出したのが、とある中国の古いお話で効率の悪い水くみの仕事をしている老人に対してある者がそのやり方を馬鹿にすると、その老人は『何も効率のいいやり方を知らないわけではない、ただ仕掛けのある仕事をすれば、結果もそれなりのものしかできないのだ、私はそれを分かった上でこのやり方をやっているだけだ。』髙田さんの言うことはもしかしたらこの哲学に近いのかもしれません。
そして形を整えず、ルールもなく、たがを外す、この精神でやってきたこの小劇場タイニイアリスを通して学ぶべきことがある、とお話ししているのを聞いて確かに無意識に自己規制しているものはたくさんあるんだろうなぁ~、と改めて3人のトークを聞いて我を振り返りました。
形にとらわれない、ルール破りなことをするタイニイアリス、この本でもその表現としてバーコード縦!のデザイン案が通らなかったのは….残念でしたねー。