植草甚一 スクラップ・ブック展
ある日、新宿駅を歩いていたところコラージュ広告を発見。よく見ると植草甚一スクラップ・ブック展のお知らせです。
植草甚一のコラージュ作品はもちろんですが人目を引くポスターデザインで、久々展示に行くのも良いという気持ちになりました。忘れない為にも写真を一枚撮り、その場を去りました。
そしてある日、ファクトリーツアーに来てくださったデザイナーTokyo Pistolさんの会社ホームページを、見ていたところあの植草甚一の展示ポスターがあるではありませんか。すっかり展示の事なんて忘れていた時です。Tokyo Pistol さんはおもしろいことやってるな、とたまにチェックしていたのですがこの植草甚一展を彼らがディレクションしてると知ってますます行きたくなりました。小さな事ですがいろいろ繋がって嬉しいです。
世田谷文学館。久々に洗練されたエリアを散歩です。街の至る所に展示のチラシが貼ってあり街全体が文化的なことを大切にしているように感じます。Factory 4Fも地域にチラシを貼ってみるのもありですね。
本、音楽、映画、外国文化、スクラップ、メモ、コラージュ、興味の範囲が広く独特な文筆家の植草ですが、紙や本が好きな方は彼のノートやメモに興味津々ではないでしょうか?
* 植草さん コンニチワ
展示場では植草が夢想した架空の古書店「三歩屋」という企画展も行われていて、そこに入ると本好き文科系の人々にはたまらない秘密の部屋のようになっていました。ジャズが流れていて、薄暗い照明の中レジには売り子さんがいます。生きているうちに異国のこういうところでバイトしてみたい、と妄想は膨らみます。よく見るとこの「三歩屋」のディレクションもTokyo Pistol で夢を見させてもらえる空間になっていました。
そして並べられている古本からはタイトルを見るだけで世界が広がりそうな物ばかり。全部読めたら何か自分の中で変わるだろうか、そして自分の想像力や知識なんて本当にちっぽけなんだろうなぁ、と考えるとたとえどんなくだらないことでも興味のあることにはなんでも経験して日々を過ごすべきだと思いました。
展示会場には植草の大きなパネル写真が数多くあり、その中に本に埋もれている植草がいます。とても文筆家らしくカッコいい、フォトジェニック、の一言ですが、こんなに大好きな本を持っていたら人生を気軽には動けなさそうです。
今ではちょっと調べるだけでは本なんて買わないだろうけど当時は調べる手段は全て本だったと思うとこれだけたまるのも自然でしょう。植草の場合、所有する事にも独自の哲学がありそうです。
本がだんだんとなくなって、買う人もいなくなってきていてちょっと寂しいけれど本に埋もれる写真が様になるような時代でもなくなってきているのかもしれない。どんなに同じように真似してもその当時でなければ撮れない写真があります。
『断捨離っていうのが今は流行ってるんだよ』と植草に話したらなんて答えるんだろう。きっとそんな事どうでもよくなるくらい独特な返事が返ってきそうです。
展示は7月5日(日)まで、興味のある方はぜひ。
◎Tokyo Pistol さんのHP
世田谷文学館20周年展示『植草甚一 スクラップ・ブック』 | TokyoPistol