この絵本はどこにあなたを連れて行くか

デザイナー梶原恵さんと造本作家 新島龍彦さんの2人からなるSILHOUETTE BOOKS の本がこの度グラフィック社より出版されることになり、その出版記念イベントとして12月6日(日)13:00よりFactory 4F にてワークショップを行うことになりました。

 彼らの得意とする 影、シルエットを使ってクリスマスカードを作るという内容です。きっと完成して自分で光を当て影ができた時にの喜び大きいことでしょう。

 

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SILHOUETTE BOOKSの新島龍彦さんは篠原紙工の社員でもあります。彼と出会った最初の頃、お昼休みに作品を見せてもらったのをよく覚えています。

 ライトをいろんな角度から照らして楽しむこの本の仕掛けはとてもシンプル、だからこそハッとさせられるものがあります。そして通常彼は手作業でこの本を作っています。感動させる裏には緻密な作業が多くあります。手製本バージョンを見た方には想像つくのではないでしょうか。

 彼らの予想を超えて「MOTION SILHOUETTE」は大きくなり、手作業が追いつかないほど。私が会社を出る時、新島さんは個人で居残りをしてチクチク手作業、そして朝は一番早く来て他の社員を巻き込んでチクチク手作業。そんな状態です。夜なべをして本を作っている。

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*彼の製本、縫い物セット、箱がイイ 

 

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*mummy bird and its baby

そんな手製本が元であるのを量産するとなるとどうなるか?難しいお題ですが、篠原紙工がそれを行うことになりました。社長である篠原も彼を応援しています。それだけではなく機械生産が難しいお題に対して密かに楽しんでいるようにも見えました。篠原社長と新島さんはアイデアを出しつつ、どうやったら一番効率よく、無駄がないかを話し合い。

 

量産となると現実的な問題も次々出てくるのです。この本は工程も多く、手間もかかる。そこは社長の経験と知識で何なりとクリア。もちろん試行錯誤はありますが「できる」が前提だと思っているので他の社員も驚かず淡々と作業は進行されました。もっと新鮮な目線で見ておけば良かった…と今書いていて少々後悔です。

 

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*工場内の本達

 

さて、『MOTION SILHOUETTE』は絵本です。

 絵本というとやはり子供時代を思い出します。

夜寝る前に母親に絵本を読んでもらうことは子供にとって一つの楽しみではないでしょうか? 完全なる安心感と想像の世界に引き込まれてそのうち心地よい眠りに入る。このような親子関係で育った方々を想像するとそれだけで幸せな気持ちになります。

 この「MOTION SILHOUETTE」には文字もついています。私は子供の頃、絵本の内容も好きでしたがそれよりイラストから自分の想像を膨らませるタイプでした。それは今でも変わってないのかもしれません。実はこの本の文章しっかりと読んでおらず、改めてきちんと読んでみると頭は大人の感覚になっていました、その文の背景にある作者の言いたいことは?とか、なんだか疲れる作業をしていました。

 

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でもこの絵本はやはり文字より影とイラストが目を奪います。この影絵だけを見つめていると、子供の頃に戻った感じで、雷をみると怖いけどワクワクした感覚とか、お母さん鳥が小鳥にエサをやる時は『小鳥がワタシでお母さん鳥はワタシのお母さんね!』と自分に置き換えたり、タンポポと誕生日ケーキのシーンではどこか寂しげな女性のきれいなシルエットにウットリしたり、

 

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お化けは恐いけど、どこかでお友達にもなってみたい….そしてラストの電車が月夜に向かうシーンはこのままお月様の世界に連れてってほしいなぁ、など、あんまり子供の頃と変わらない感覚に久々で会いました。

 

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 *こんな愛らしいお化けなら月夜に向かう電車に乗って一緒に旅に出たい

 

大人でも絵本は楽しめると思います。ただ、大人になるといろんなことが分かるので本のデザイン性や内容も自分の経験に照らし合わせたりして、もしくは今の自分の都合のいいように見ているだけなのかもしれません。

 

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*「ワタシなら逃げないのに」と子供の頃のワタシなら思うと、思う。

 

もっと単純に影を動かしながらこんなに影が伸びる~、ここにワタシがいて、OOちゃんも一緒に電車に乗って、このお化けはほんとは青くてお化けじゃなくて雲、このケーキはチョコレートだね、こんなに一人で食べていいの?とか、、、。

 

 忘れたけど誰かが言っていました。人はいつでも3歳でも、10歳の感覚にも戻れることができる、と。実は忘れてはないそうです。この MOTION SILHOUETTE 、ぜひともまずは影で遊んで自分の中の子供の頃の感覚に会ってみてください。

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