鳩サブレーに心をつつかれました

前に神奈川県の印刷組合の方々が工場見学に見えた時のこと、手みやげにお菓子を持ってきてくださいました。

 それは、鎌倉名物の鳩サブレー

私も好きです。ヨーロッパと日本のちょうど中間くらいのあっさり味のビスケット、いえ、サブレーが。

 

 篠原紙工の社員数を気遣いしてくださったのかとても大きな袋。その大きな紙袋には鳩のイラストだけで、文字はなくそのシンプルさに目が留まりました。

「こんなに大きな鳩サブレー缶を頂いたのは初めてかも…」と思いながら、中身を開けると...次々と!私の心に響くものがありました。

 

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缶の質感はマットでレモン色に近い、そして缶のサイドには鳩のシール、そして開けると鳩サブレーたちがたくさん!たたずんでいます。

 

 

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 たくさん入っているので工場1F、2F、4Fと数を気にすることなく配れる!みんな喜ぶだろうな、と思いながら缶の奥まで鳩を捕まえると…

 

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ちょうど半分のしきり紙に何やらしかけが、指で引っ掛ける部分がきちんとあり、丸く描かれた部分には何やら点線があります。よく見るとその丸部分を抜くとコースターになる紙加工が施されていました!

 

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*メンコ遊びなどに...とも記されています! 遊び心がある!

 

手に取った人を飽きさせないというか、作り手のちょっとした遊び心と細かい所にまで鳩サブレーの世界が表現されていて思わず一人こころの中で興奮してしまいした。

缶に貼ってあるシールはお客さんが引き取りやすいように粘着が着いていない部分もあります。きれいに剥がしやすいタイプの、シールというよりステッカーのようです。

 

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…もしかしたら『きれいに剥がしてノートやファイルなどに貼って楽しんでくださいね、』という制作者の思いかな…? なんて勝手に想像してしまいました。

 

ところが気づく所はそれだけではありませんでした。鳩サブレーちゃんたちがたたずんでいるプラスチックのしきりケースを捨てようとした時にふと気づきました。底にも周りにも鳩の模様があります。

 

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*ケース底にも鳩

 

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 *鳩、鳩、鳩!

 もう私の心は制作者の願うツボなのではないでしょうか。

 手にした時から鳩サブレーの世界に引き込まれ、可愛らしいお菓子を食べて幸せになり、頭から食べるか、尾から食べるか、で悩まされ、捨てる時には色々な発見を与えてくれる。いろんなことを感じさせてくれるお菓子だと思いました。

捨ててしまう所にも手を抜かずきちんと鳩の気持ち(?)を描き、しきりの紙は他の用途へ、と遊び心を込めて。シールにも何となくステッカーの思惑があるように思えてなりません。隅々にまで想いが入っててある意味無駄がない。

 

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*つぶやき、という言葉を使うのも現代と掛け合わせているのでしょうか、内容はたっぷり歴史と想いがつまってました

 

そしてしまいには鳩サブレーが出来た背景のお話の冊子です。鳩サブレーは有名ですがそれがどのような形で誕生したのかは知りませんでした。 いえ、こればかりでなく、この世には老舗と言われ数多くの良いものは出ているのにそれを私が知らなさすぎなのだと思いました。

 

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*撮影後、片付けていたら裏にも鳩がいること発見

 鳩サブレー。明治時代、初代がある外国人からもらったビスケットが大変気に入り、子供達へ人気のお菓子として作る決意をしたところから始まります。

 研究を重ねるうちにバターなどの味に馴染みがまだない時代でしたが、このピスケ(ビスケット)にはバターの割合がポイントだと気づき、初代が納得いくまで毎日試作に明けくれました。人真似が嫌いな性格で何とか今までに無いお菓子を作ろうという熱意が初代を突き動かしていたようです。

 

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*包み紙はちょっと渋め。もしあの丸い鳩の紙だったらちょっとポップすぎますよね、きっと。

 

 しかし明治時代、人々にとってバターの味はまだ受け入れがたく、ご近所の方に「美味しかったよォ」と言われましたが、ある日初代の奥さんがご近所を伺った時に裏庭で鳩サブレーが犬の餌になっていたのを見たそうです。

全てを捧げている初代の気持ちを思うと奥さんは何も言えず、数年間は内緒にしていたとのことです。初代は「名物にうまいものあり豊島屋の菓子!」と常に口に出し、味の追求には大変厳しかったと。

お話はそこそこ長いのですが、鳩サブレーの歴史と何よりも明治の人の気骨の精神が歴史の教科書よりも伝わる内容でした。

 

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 *鳩になった初代

 良いものを作る、売る、そして何より継承していくことの難しさを感じました。この冊子には初代の一本筋が通った強い美学、職人気質があり、しかし凝り固まらず、その時代の流れにそって勉強し新しいことを受け入れる好奇心がある方だったことが垣間見えました。

 

今はどんな会社でどんな人達が動かしているのだろう?想像してしまいます。

自分の会社のことを悪く伝える冊子なんて、もちろんあるわけないですし、老舗が絶対的に良い会社とも言い切れない、と私は考えますが、少なくともこの『豊島屋の鳩サブレー』を手に取ってブログを書くまで動かされたことは確かです。抽象的ですが、何かが伝わったから、でしょう。今度は私が誰かに鳩サブレーをプレゼントしようかな...。

 鳩の思うつぼの客です。

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 *美味しく頂きました。神奈川印刷組合の方々、ありがとうございました!

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