「ネットde手帳工房」記者会見の様子、とその裏ストーリー

先日、キャノンITソリューションズ株式会社さんが開始した「ネットde手帳工房」という新しい手帳サービスの記者会見が行われました。印刷はサンコーさん、製本は篠原紙工、という3社の協力のプロジェクトです。

 

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このネットde手帳とは、手帳の中身を自分仕様にカスタマイズして自分だけのオリジナル手帳を作れるというシステム。

例えばマンスリーのカレンダーを15ヶ月分、自分の都合の良い月で始める、誕生日や会社の休みの日をあらかじめ入れておく、まるで自分の本を作るような手帳サービスです。

 ◎詳しい内容はこちらを→ネットde手帳工房

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* ネットde手帳工房の一例。右のは篠原紙工の仕様でサンプルを作りました

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 *こんなふうに「私の誕生日」とあらかじめ組み込む事も可能!

 

キャノンさんのプレゼン中、ちょっとした世の手帳の流れを知りました。手帳とは90年代くらいまでは会社や企業からもらうもの、2000年以降、徐々に工夫されたものが増えしばらくは選ぶ時代、今も続いております。

そして2017年以降、手帳は自分で「デザインするもの」「ネットde手帳工房は手帳販売の常識を変えます!」というキャノンITソリューションズ小野さんの大々的な言葉がとても印象に残りました。

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*キャノンITソリューションズの小野さん、とてもユニークな方!本番はかなり緊張している様子でした

このプロジェクトの背景には色々と心に残ることがあるのですがその一つはキャノンさんの方々がとてもユニークで、このネットde手帳も有志で集まった社員が動かしたプロジェクト、ということ。

キャノンといえば日本を代表する企業、お堅い感じで着々と仕事をこなす方々なのかと勝手に想像していたのですが篠原紙工へ工場見学来た際、とてもフレンドリーで積極的にジョークも飛び交う、というような感じで正直ちょっと驚いてしまいました。

 私の中の大企業=お堅い、というステレオタイプな固定観念もくずれ、こんなにエネルギーあふれる感じの方々がやる仕事なのだからこのプロジェクトは上手くいくだろう、と名刺を交換しながら思い直したのを覚えています。どんな人たちがどんな思いで仕事をするか、ってやっぱり重要です。 

 

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*株式会社サンコー 経営企画室の有薗さん。こういう場でも一つも緊張も見られず、プレゼンもスムーズ....いつもスマートだなぁ、と憧れます。

 

そもそもどうして篠原紙工がこの仕事に関わったか?

このネットde手帳はオーダーメイドのため一人一人印刷内容が異なることから、即座に受け入れてくれる印刷会社さんがいなかったそうです。そして製本も平置きしても閉じないという条件を満たすところを探していたところ巡り巡ってサンコーの有薗さんのところへ印刷の話が入り込み、製本は篠原紙工へ、という流れになったのです。

 

 

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*持ち時間3分のプレゼン、篠原にとっては一番難しい課題だったのでは(もっと話したい...の方です) 

 

サンコーの有薗さんと、弊社の篠原、タイプは違いますが印刷会社、製本会社の2代目の下町育ち、今は会社を動かす立場。共通点が多々あり、二人を観察していると仕事に対する気質が重なる部分があるのかなと思います。印刷・製本業界の先を(愛情を持って)考えていて、そのためには多少のリスクをも覚悟で新しいことにチャレンジするし、中小企業ならでは? かもしれませんが思ったら動く、とにかく自由に実験的にやってみるという、大企業とは質の違うタフさみたいなものがあるように見えます。

 

◎サンコーさんの新しいHP 株式会社サンコー|印刷・WEB・デザイン

 サンコーさんのブログもぜひご覧ください![前編] IT企業と町工場の強みを結集した新たな手帳サービス「ネットde手帳工房」記者会見レポート! - サンコー:企画-DTP-印刷

 

なのでこの二人が一緒だと「何をするのだろう….」と静かに観察しているのですが今回はもう一人、このネットde手帳工房の担当者である小野さんが有薗さんと篠原にマッチしているメンバーとなっていました。端的に言うと、この3名の気が合っていてとてもスムーズに話が進められていたのです。

 

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*こちらは後半、文具愛好家さん達を集めたブロガーミーティングの立食パーティでの小野さん...文具仲間の間ではヘルメット着用

 

小野さんは今回のこの仕事はもちろんですが純粋に文具が好きというエネルギー溢れるユニークな方です。きっと色々と規制も多いと思われる大企業の中で新しいことをここまで進めることができたのはやはり情熱と小野さんの人柄なのではないかな、と思いました。

大きな組織が町工場と協力して新しい事業を立ち上げ、大、中小企業関係なくwin-winの関係で仕事ができるって理想です。お互いの分野を最大限に出し合い、横並びで走る仕事ってありそうで、、、ないかも?

 

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篠原曰く、「この案件、どこの印刷会社や製本会社でもやろうと思えばできるはず。仕事内容に比べて割に合わないと一見思うかもしれないけど、そもそものこの仕事の回し方にプラスひと工夫をしてこちらから条件や提案を出してみたら良い仕事になると思って。」と….。

 

不都合な時こそ柔軟な発想力。どうしたらそんな発想が思い浮かぶ?とも思うのですが、恐らくどんな仕事の進め方が理想か、どんな関係性が大事かをいつも心と頭に置いているからそういう発想が生まれるのかもしれません。そうじゃなかったら….目先のことだけで仕事の受ける・受けないの判断をしてしまうかも。改めて自分の働く会社の方針を再確認した気がします。

  

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 *篠原紙工ではドイツ装にして使ってる人も、ちょっとボロボロ感が出てるモノもありますが紙の味が出てます

このネットde手帳工房が今後より多く世に広まり手帳業界の常識が新しいものに生まれ変わったらどうなるのだろう...手帳は各自で作るもの。想像を超えて面白くなりそうです。今後、各社の担当者も変われば仕事の回し方にも変化は出ると思いますがこの良い出発点を原点として3社にとって、ユーザーや手帳業界にいい流れが生まれることを願っています。

 

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