働き方改革関連法は意識改革の小さな一歩

 

週末、テレビのニュースで来月から施工される働き方改革関連法にまつわる話が耳に入ってきました。内容は有給休暇の義務化について。

パートやアルバイトを含め従業員に有給休暇を5日以上取ることがすべての企業に義務付けられ、違反した場合は罰則として会社が30 万!を課されるおそれがあるとのこと。

そしてこの法案において中小企業の経営者からの相談が相次いでいるという情報が流れた途端.......テレビの画面はなにやら見慣れた風景が映りました。

印刷や断裁をしている現場のシーン。

 

そのニュースではある印刷会社の経営者さんを例にこの法案についての問題を取り上げていました。この義務化に会社として対応仕切れないおそれと不安があるようでした。

「一人当たりの労働時間を減らしていくという考えもあるけれど中小企業は難しい。休みを取らせたくても人材が足らず、仕事が回らなくなる。」

何より一番の問題は急な印刷物のデザイン変更や入稿の遅れなどに対応しなくてはならず計画的に仕事が回らない、休みが取れないという深刻な問題があるようでした。

 

このような問題は印刷業界に限らないようで、このニュースではあるシステム開発会社も例に取り上げられていました。

この会社ではひどい時は営業さんが1人で30件も抱え込まなければならず、休みを取る余裕が全くできず、その上こちらも先方の内容変更などで振り回されることが多々あったようです。

これを改善するために、1案件につき社員数人で内容を共有し代わりができるようにしたこと。そして振り回される取引先とは仕事をしない、と社長さんが決断したとのことです。

このシステム開発会社の社長さんは「結果、お互い大切にし合える会社さんだけが残り良かったことの方が多かった。」とコメントを述べていらっしゃいました。

 

数多くあるニュースの中の一つ、とはいえこの法案で悩んでいる中小企業の代表として印刷業界が出ていたのはちょっとショックでしたが、このニュースの中には印刷会社だけでなくその前後全てに携わっている会社との関係性、連携が大きな問題のように見えました。

 

まさに篠原紙工でも内容や予定変更は日常茶飯事、この印刷会社さんが悩んでいる問題は私たちにも関係することです。

弊社で予定管理をしているスタッフも「また内容が変わってしまった....。予定を組み立てても崩される繰り返しで何やってるのか分からなくなってくる...。」と涙を流しよく落胆しています。私もそれを聞くたびにこの問題はどうやって軽減することができるのだろう、と頭を抱えてしまいます。

 

先に出たシステム開発会社さんのようにに『取引しない』という決断はとても勇気が必要だとは思いますがそれくらい『自分たちのやり方』というのを表に出していかないと結局のところ疲弊ばかりして最終的にはうまくいかなくなるのかもしれません。

有給休暇の義務化、ということを通して各企業の努力だけでなく、印刷・紙加工業界全体こそが意識の変化をしなければならない時がきましたよ....。とニュースに言われているような気がしました。

 

もう少し広く考えるとこの問題はよく言われる国民気質の問題にまで及ぶのでしょう。

日本人の勤勉さ、相手に合わせる、上下関係を大切に、そして調和を重んじる、この気質が日本を支えているとも言えますがもう少し....ネジを外してもいいのでは?と個人的には常に思います。

 

日本では有給休暇の消化率が約50%を切ったまま。世界的にみてあまりにも低すぎるそうです。この義務化が単に表面的に先進国のあり方として恥だから義務化に従う。

国が言うんだから仕方ない、でも現実は無理。という諦め姿勢ではなく、国が義務化というある意味、強制的な処置をする背景を今一度各企業が考えて自分達の在り方、働き方に落とし込んでいかなければならない時が来たのだろうと思いました。T

 

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*焦った時は茶を一杯飲む習慣を。