紙と環境問題
G.F SMITHというイギリスの老舗紙卸のショースペースに行った時のこと。
Googleマップにも表示されていたので、
自由に入れるかと思い気軽に足を運んだのですが、
人の気配はあるのにエントランスドアが開かない...。
ドアの右隣にブザーがあってどうやらそれを鳴らすようでして、
やはり老舗のお店におじゃまするのにはそれなりの覚悟が必要なのかと
恐る恐るブザーを押しました。
インターフォン越しに見学をしたい事を伝えると
やっと笑顔で入口ドアを開けてくださるスタッフさんが登場。
一歩入るとまたそこには重たそうなドアがあり、
それを開けてもらうと...
中にはものすごく洗練された空間が待ち構えていました。
G.F SMITHではColorplanという紙をイチオシとしているようで
その紙で作られたオブジェが窓全面を覆っており
まるで美術館のようでした。
*どこを見ても整然とした空間
ショースペースの中には数名のスタッフの方々が
通常のデスクワークをされていて
特に案内する方がいるというわけでもなく、
笑顔で「ご自由にどうぞ、何か質問があったら聞いてくださいね。」と。
G.F SMITH 歴代の紙見本もあり、触ろうとすると
さすがにスタッフの方がこれを見る際は手袋を、と渡されました。
(記憶が正しければ...)1920年代頃からの紙見本や書類などが資料として
自由に閲覧できるようになっていました。
1階は販売している紙の展示スペースとオフィス、
そして地下には紙にまつわるアート展示空間もありました。
階段を降りて行くと大きくRecycle Reuse Reduce の文字。
リサイクル、再利用、減らす、
紙を通して環境を意識させる展示でした。
例えば、紙コップ。
「イギリス国内で1分間で4,861個もの使い捨て紙コップが使われている」
想像するとゾッとしてしまう数ですね。
でもこの言葉は現実をきちんと教えてくれていると思いました。
他にも「消費を減らし、いいものを選んで、長く使おう」
など、消費社会の問題を投げかけるような直接的な言葉がたくさんありました。
1階の洗練されたショースペースとは打って変わって紙と環境問題の
負の部分を見せ、紙会社が紙の消費を通して社会に対して警告を促す。
今現在と過去の歴史や伝統、そして未来を考えさせる
企業としての社会的役割が一つの建物の中にぎゅっと詰まっている感じでした。
この展示をどう感じるかは
人それぞれだと思いますが、少なくとも展示会場を去った後に、
もう少し自分でできる事を探して行動してみよう、
と思わさせるような展示でした。
文章でも言葉でも展示でも、
見る人に行動をするきっかけを与えるってすごいな...と思う。
あとはその時だけでなく持続する事が大事ですね。
イギリスでは既にビニール袋は無料配布しません。
紙だけでなく、プラスチックのゴミ問題も世界的に課題になっていますが
個人だけでなく、会社単位でも小さなことから始めてみたいと思いました。T