文房具チェーン店で感じたこと

ロンドンのディープな製本世界をのぞくのも楽しいですが、街にはどんな紙ものがあるでしょうか。Paperchaseという文房具チェーン店に行ってきました。

Stationery Supplies, Cards, Gifts & Art Materials | Paperchase.com | Stationery Essentials

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ここはメッセージカード、ノート、画材、子供の文具から、ちょっとおしゃれな雑貨や紙にまつわる様々なものが売っています。
日本でも誕生日などメッセージカードを贈ることはあると思いますが、イギリスはもっと日常的に紙に書いてメッセージを贈る文化があるように思えます。

それを象徴するかのようにお店1階にはずらりとメッセージカードのコーナーが並んでいます。しまいにはどれが欲しいのかわからなくなりそうなくらい。

誕生日、結婚、出産、引っ越し、おめでとう(なんでも)、様々な人生の状況に合わせた陳列棚があります。

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そして、ノートなどの文具も日本の無印良品のようにシンプルなものからお花柄やゴージャスな模様が入ったものまでピンからキリ。マグネット付きだったり、ぬいぐるみのように形がユニークなノートなどたくさんありました。

篠原と私はそれら商品の値段やどこで作られているかをチェックしていたのですが、こだわった作りにも関わらず、1000~2000円と決して高くない価格でした。


とてもじゃないけれど、篠原紙工でこれらの文具を作るとなるとこんな価格ではできません。大体の商品は中国で製造されているようでしたが、質も悪くなく、多少雑な作りが見れたとしてもこの価格なら、と思えるものばかりです。

実はロンドンの美術館などで売っているアート本や特殊本なども質は良く、価格もお手頃なものがたくさんありました。


高くても良いものを少しだけ、という精神も徐々に広まりつつ(もしくは時代は戻りつつ?)ありますが、ある程度安価でおしゃれで使い勝手もそこそこ良くてという物が広がりやすいというのも事実です。

 

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*最上階は他の階と比べてシーンと静まり返っていました。画材が売っています

日本を出て改めて自分たちの位置を知るというか、ある程度質の良い物はもはやどこでもできるようになってきていて、それを踏まえた上で自分たちが作る価値はどこにあるのか、ということを考えさせられました。

 

正直、ここ数年ずっとこんなことばかり考えてる気がします....。
紙の価値、私たち篠原紙工で物を作る意味、自分たちの在り方、などなど。そんな悩みを抱えつつも、ここ篠原紙工で、この人たちと関わって本を作りあげたい、そんなことを言ってもらえるような関係性がお客さんと築けたらというのはいつも心にあります。

 

今回、久々にPaperchaseに来て感じたことがあります。篠原紙工に勤める前の話ですが、私はロンドンに行くとこのお店に行って面白い文具やノートをよく買っていました。ところが今回久々に来て、全くと言って良いほど心が踊りませんでした。

篠原紙工で日々、紙に囲まれて品質のこだわりや製造の世界にいるせいか?売っている物に違和感を感じたのでした。質の良し悪しは判断できませんが、私の中では心にしっくりこなかった。

数年前の私なら、1日中このお店に居れる!くらいに思っていたのですが、見る目が変わったのかもしれません。これは面白い変化でした。
たとえ製造の現場にいなくても、物を作る会社にいるだけでそれなりに物に対する考えや審美眼が変化するのかもしれません。

数年前の文房具屋さんでワクワクしていた自分はサヨナラですがその代わり、もっと良質で作り手の精神がこもっている物に出会いたいと思うようにもなりました。

成長のひとつですね。T

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*紙の名前と重さ、大胆に直に書かれてて良い!