あなたにとって大切な本はありますか?
10月8日(土)11:00-17:00で『継ぎ表紙の上製本づくり』のワークショップを行います。4F製本教室『 継ぎ表紙の上製本づくり 』 - connpass
継ぎ表紙の製本….
聞いてもどんなのだか想像つかない ? かもしれませんね。
私も最初、言葉だけでは分かりませんでした。
簡単に説明すると、表紙と背の部分がひと続きになっていない本のことです。例えば、表紙は布貼りだけど、背の部分は革素材や厚い布であったりする本のことです。
先生からお借りしている本を手に取ってみると背の部分は革素材の物でとても重厚感があります。やはり開いたり閉じたりするので背を強化するためにこういう本ができたのかと思います。
*こちらは背の部分が丸い丸背の上製本。中身は文庫本です
ところで、自分の心のよりどころのような本はみなさんは持っていますか?
この継ぎ表紙本を見て、ある方の話を思い出しました。
その人は古くからのインドの智慧や人生哲学が心の支えで、内容が難しくても何度も何度も本がボロボロになるまで読み返し、しまいにはその本を製本し直して自分の1冊にしたそうです。その時の装丁が継ぎ表紙の本でした。
その方はそのインドの智慧を読むようになってからよけいなハウツー本を必要としなくなったと言っていました。読んでいくうちに、その人の人生経験も重ねて少しづずつその本が伝えたいことを理解していったそうです。
自分の支えとなる1冊の本を自分で製本し直して大切に何度も読み返す、これこそこういう装丁がふさわしいなぁ、と思いました。
あなたにとってそういう本があればきっと何度も開いて読むでしょうし、愛情、その本に対して敬意みたいな心もうまれてくるかもしれません。
私にとって本とは美しい装丁、面白いデザイン、造形物という視点より先ずは中身。何が書かれていてどんな智慧や知識や感動を与えてくれるかというのが先。
物質としてなくなったとしてもそこから学んだことが自分の中に残ればそれで役目は終了です。
しかし、もし手元においておくなら、機能的に強化されていて、美しい佇まいの本が部屋にひっそりあれば毎日がより楽しくなると思います。
*先生の本にはマーブリングの施しもされています。今回マーブリングも行いますよ!
☆Factory4F タブチ http://factory4f.com/
活版印刷 × 箔押し × 製本 クロストークのおすそわけ
こんにちは。お久しぶりです。4F編集室の沼上です。
さる8月3日、Factory 4Fでは「ファクトリーツアー+クロストーク」というイベントが開かれました。
Factory 4Fの運営母体である篠原紙工も紹介されている『たのみやすい! 特殊印刷・加工・製本所イエローページ』(エムディエヌコーポレーション刊)という書籍の刊行記念としておこなわれたこのイベント。
後半のクロストークでは、同書にて紹介されている三社から、高岡昌生さん(嘉瑞工房)、梅津浩さん(美箔ワタナベ)、篠原慶丞(篠原紙工/Factory 4F)の三名がゲストとして登場(進行はエムディエヌコーポレーションの鴨英幸さんです)。
活版印刷・箔押し・製本というそれぞれのお仕事についての喜びや悩みなども垣間見えたクロストークの一部を4Fブログでおすそわけします!
※イベント全体のダイジェストは「Factory 4F PAPER 45」でご覧いただけます
→https://www.dropbox.com/s/4a7cjb5l0ry7ab1/4fpaper_45_20160809.pdf?dl=0
——きょうのゲストでお集まりいただいた皆さんの会社は、お仕事やホームページを拝見しても一般的な印刷・製本業界のイメージを覆すような存在です。
どのようなことを意識してお仕事をされているのでしょうか? まずはFactory 4Fをつくられた篠原さんからお話いただけますか?
篠原 篠原紙工とFactory 4Fの代表をしている篠原です。
うちは父親が創業者で、ぼくは二代目です。
実は子どもの頃から製本会社がずっと嫌いだったんです。
ぼく自身最初は現場で機械をまわしていたんですけど、機械は好きだし、製本の作業自体も好きだった。
じゃあなんで嫌いだったかと言うと、世の中に出たら製本業なんて誰も知らないから。
クラスメートにも「製本会社」なんて通じなかった。
それが子どもの頃から嫌だったんです。
そこで、製本業についてその魅力も含めて皆さんに知ってもらいたいという思いもあってこういう場所をつくりました。
Factory 4Fでは、先ほど体験していただいたようなファクトリーツアーをやったり、セミナーやワークショップを開くことで、製本業をオープンにしようとしています。
——高岡さんはいかがですか?
高岡 嘉瑞工房という活版印刷の工房をやっている高岡です。
手間も掛かるし、設備の維持も大変です。
なので活版印刷はやめたいと思っています(笑)
いま業界という話が出ましたが、そもそも活版(印刷)は業界自体が存在できていない。
うちは創立60周年だけど、活版だけで60周年というのは珍しいんです。
活版から始めたけれど、いまはオフセット(印刷)などをしているところがほとんど。
20〜30年前に活版は業界自体がなくなってしまったんです。
うちも何度も危機がありましたし、いまも危機は続いているようなものです。
そこで生き残るために拡大路線はやめようということにしています。
工場見学も送迎もしない、基本的には立ち合いもできない。
なんでもやりますとはやりたくないし、うちでやらなくてもいい仕事は断ります。
ただ活版でやりたいというだけなら他のところでやってもらえばいい。
「うちでなくてはできないこと」のために技術を磨くというところにグッと潜り込んでやってきました。
だからうちはぜんぜん開けてない(笑)
篠原 でもこういうところに出てきてるじゃないですか(笑)
高岡 そうしないと潰れちゃうから。
出ろと言われたから来たけど、タイポグラフィについてではなく、活版印刷のことだけならほんとうは出たくない(笑)
世の中では活版ブームと言われますけど、ブームと言われるのも嫌で。
ブームはいつか必ず終わってしまう。
(一過性の)ブームにしないためにどうしたらいいかを考えてやっています。
ただ活版印刷を使ってみたいという声も聞きますが、活版は目的ではないんです。
目的ではなく手段。
いい名刺・いい印刷物をつくるための手段として活版印刷をやっています。
高岡昌生さん(写真右)
——梅津さんはどうでしょう?
梅津 箔押しを専門にしている美箔ワタナベの梅津です。
活版印刷もそうですけど、いま求められているのは純粋なものだと思うんです。
すごく簡単に安くできちゃうものがもてはやされる一方で、(高い技術を注いで)すごく純粋につくられたもの、誰が見てもかっこいいと思うようなものもある。
その両極端だと思うんです。
そしてぼくたちは加工の魅力を生かす方向で売っていかないと、あるいは加工についてデザイナーさんや加工をする仲間たちと一緒に考えていかないと未来はない。
よく言うんですが、加工に関して1+1は2じゃないんです。
加工を組み合わせることで、単純な足し算以上のものが(印刷物に)宿ると思っています。
篠原 加工自体が目的ではないというのはうちも同じですね。
単純な「◯◯(加工)いくら」というのとは違うスタンスで仕事をしています。
デザイナーさんの「こういうものがつくりたい」という目的をどうやったら実現できるか、そういうことを考えながら「それならこういう加工はどうだろう?」という提案もどんどんしてきます。
梅津浩さん(写真左)
——デザイナーの方や私たち出版社で編集を担当する者にとって、加工はブラックボックスのようなところがあると思うんですね。普通は印刷会社にお任せという感じなので。
きょうは篠原紙工さんの工場を見学させていただいて、参加者の皆さんからも「かっこいい!」という声があがっていましたね。
梅津 こういう場を通じて加工の魅力や効果がわかってもらえたらいいといつも思うんです。
業界としては、閉鎖的なところがすこしあるので……
篠原 そういう思いもあって毎週水曜日にファクトリーツアーを開いているんです。
ところできょうは書籍の刊行イベントということですけど、たとえばこの本を受け取った時にどこから見ますか?
ぼくは本をもらうと真っ先に「開き」を見るんです。
糊の種類とか綴じ方とか、開き具合を見てどうやっているか考える。
活版だとやっぱり文字組とか見るんですか?
高岡 まあそうですね。
篠原 箔ならまずどこを見ます?
梅津 「ツヤ」とか「ヌケ」を見ますね。
箔の種類や押し方によって仕上がりが変わるので。
篠原 技術的に勝負とかしない?
「うちならもっと上手くやるな」とか。
梅津 それはある(笑)
あとはどういう機械でやったか考えます。
——高岡さんは先ほど活版をやめたいとおっしゃっていましたが、それってどういうことでしょうか?
高岡 活版印刷をやりたいから嘉瑞工房をやめたいということです。
活版印刷は仕事ですから、食べるためにはいろんな仕事を受けなきゃいけない。
そうするとやりたくないこともある。
それは当然ですね。
やりたいことだけやっていられたらいいけど、ほんとうにやりたいことに時間をなかなか費やせなくて。
自分がつくりたいと思ってるものは土日にちょこちょこっとやってはいますけど、逆に言うとそのくらいしかやれない。
ほんとうにやりたいことをやるためには嘉瑞工房をやめたほうがいいんです。
自分のものだったら気に食わなければ何度もやりなおすけれど、注文を受けた仕事だとなかなかそうも言っていられないし。
もちろんそのときどきで最善はつくすけれど、自分の意向と違うこともやらなきゃいけないので……
篠原 やっぱり機械をまわしている時がたのしいですか?
高岡 そうですね。
組版した結果を印刷して確認するのが楽しみです。
篠原 梅津さんは何してる時がいちばん楽しい?
梅津 試作ができあがって最初にお客さんのところに持っていく時ですね。
できあがったその時点では、世界中でまだオペレーターとぼくしか見ていない。
それってすごく贅沢だと思うんです。
お客さんに見せた時にどんな反応があるか想像するのも楽しみ。
篠原 梅津さんとは普段から仕事をすることがあるんですけど、ドヤ顔で試作をもってくる時があるんです。
いまその理由がわかりました(笑)
梅津さんのところは造幣局、日本のお金をつくっているところと同じスイス製の機械を使っているんですよね。
いい箔押しの機械って他の機械と何が違うんですか?
梅津 見当だったりの精度が違います。
しっかりセットをすれば、多面付けしても見当がズレないんです。
篠原 なるほどね。
梅津 あとは多面付けするほど、ツヤやヌケも難しくなりますね。
絵柄次第で箔押しの難易度は変わるんです。
面積が大きくなるほど難しくなりますし。
うちは事前にデザインを見せてもらって絵柄次第で見積もりも変えています。
篠原 うちも加工の見積もりが会社によってぜんぜん違う理由をよく聞かれるんです。
同じ仕様で見積もりをとったのに会社ごとに価格が違うのはなぜなんだと。
たとえば、決まったルーティンのような仕事を主にしているところと都度違った課題に取り組んでいるところでは、同じ仕様で見積もりをとってもけっこう違ったりします。
それは各社が自分たちの普段やっている仕事内容を踏まえて見積もりを出しているからなんです。
仕事の内容に応じてどこまで細かいことをケアする必要があるかを考えたり、求められる精度を出すための配慮も含めた価格なのか、あるいは仕様書に書かれたことだけを機械でやる価格なのか。
ひと口に印刷・加工と言っても、そういう違いがあることを知ってもらえると嬉しいです。
——まだまだお聞きしたいことは尽きないのですが、そろそろ時間がきてしまったのでこのあたりでトークは終わりにさせていただけたらと思います。
お三方とも、本日はありがとうございました。
編集:フレア
発行:エムディエヌコーポレーション
定価:2,300円+税
この夏はスイカ食べた?
お盆でお休みをとった方々も多いのではないでしょうか?Factory 4F ではファクトリーツアーの参加もなく、社員も交代でお休みなので静かな工場となっております。
みなさんはどんな夏休みの過ごし方をしているのでしょうか。どこかへ行く、家でのんびり、趣味のスポーツ、まとめて勉強をする時間にする、などなどいろんな過ごし方があるのでしょうね。
篠原紙工では篠原社長が夏になると新潟の方で過ごすのが恒例らしく、今年もご家族と一緒に行って来たようです。そしてここ最近、会社にお土産として買って来てくれるのがお米とスイカ。
Factory 4Fにいらっしゃった方は見たことあるかもしれませんが...ここには炊飯器があります。(工場になぜ炊飯器?と言われたこともあります)
私たちはお昼にご飯を炊いて社員の何人かで炊きたてのご飯を食べています。最近は社長も加わり、その米所新潟のお米をお昼に頂いています。
飯炊き担当の私はいつの間にか台所の人に(勝手に)なり、普段は頂いたお菓子を切り分けたりもしているので今回もスイカを切り分ける仕事を楽しませていただいてます。
*2つに割れたときの香りとバリっと!割れた感触が好き
皆が仕事の合間に食べれるように小さくした方が手も汚れず良いか?それともガブっとかじるスイカならではの楽しみを残した三角切り方が良いか、等と考えるのがまた楽しい。
スイカひと玉を切ると作業場もちょっと青臭いスイカの匂いに包まれ、一気に夏を感じます。スイカってすごいなと思うのが食べると体温も下がり、利尿作用で体内の循環が良くなる気がします。食欲がなくてもスイカなら食べる気になるし、季節に従った食べ物を摂ることは本当に理にかなっているなと改めて感じます。
ベトナムに行った際に彼らはちょこちょこと一日に何度もみずみずしい果物をよく食べるなぁ、と観察していたのを思い出します。きっと暑い環境の中では体がそういう物を欲するのでしょう。
*結局ミニサイズにカット
これから篠原紙工は夏になると必ずスイカを食べるようになるのか?スイカ臭い手を嗅ぎながら想像します。来年の今頃、工場はどうなっているだろう?
そんなこともぼんやり頭に浮かびながら。
ちなみにお土産を買ってくる当の本人(篠原社長)はスイカが嫌いだそうです。
◎毎週水曜の申し込みコチラ
☆Factory4F タブチ http://factory4f.com/
情報に訂正があります//代官山 蔦屋書店スタイルで篠原紙工をご紹介
大変申し訳ございません。この代官山 蔦屋書店「蔦屋書店のものづくり」展、展示自体は8月14日(日)までですが 篠原紙工で手がけた文具の紹介は本日の夜には変更されるとの情報が入りました。
この週末に行こうと思われた方、大変申し訳ありませんでした。おそらく明日朝には東京編 である篠原紙工の製作背景の紹介ではなく 佐賀編「本を読む為のマグカップ」に変更されています。このブログを読んで行ってみようと思われた方々、週末の予定を楽しみに考えてしまった方々のことを考えると申し訳ない気持ちでいっぱいです。展示等のお知らせはより一層注意深く情報を確かめて発信するようにいたします。この度は今一歩、確認が足りず反省致しております。
しかし、この展示自体はとても素敵でなので佐賀編「本を読む為のマグカップ」も是非お楽しみいただければ幸いです。
Factory 4F 田渕 智子
8月10日(水)から8月14日(日)の5日間、代官山 蔦屋書店で「蔦屋書店のものづくり」展というのが開かれています。
蔦屋書店オリジナル商品の文具部門で篠原紙工が企画段階から携わり、ノートとメモを製作させていただきました。
物ができる背景、ものがたりを伝えているこの展示は買い手に優しく肩をたたいている感じがしました。これから物を買う時にちょっとだけ意識してみて、と。
【フェア】「蔦屋書店のものづくり」展 | 代官山 T-SITE
*棚の上に糊、ボンド、中綴じの針金が代官山に登場
展示スペースには紙を切る際にでる紙片(紙の切れっぱし)、スピン(しおり)や製本に使う糊やボンド(しかも現役に使われています)そんな道具達も展示されています。
おお!こんなところに糊とボンドがいる...最初の正直な感想です。むこうからも『あっ、コンニチハ』と聞こえてきそうでした。
どんな物でも美術館に入ればアート、とはいきませんが展示されている道具達や捨てられてしまう紙の部分であっても改めて感謝と愛情のようなものが湧いてきました。
その他写真の展示もされています。額装の大きな写真以外にも写真集の形で篠原紙工の工場の様子や制作風景が1冊の美しい本となっています。(こちらも弊社製作)
*いつもはリサイクルへいく紙片たち
この展示、写真家のGottingham氏(ゴッティンガム/杉山豪州 氏)による撮影。とっても美しい。空気が無いような張りつめた感はあるのですが決して息苦しさはなく心地よい緊張感のある写真です。そーっと工場を覗いてるみたいです。展示期間は短いですがぜひ皆さん足を運んでみてください。
*初めて蔦屋書店に行きましたが洗練されていて美的感覚を磨く良い場所でした
これから消費がどのように変化して行くだろう?と考えるのですが同じ物でもその背景が興味深かったり、買うことで何か良いことに繋がってたり、という物がこれからますます増えるのかな?と想像したりします。
私自身も一社会の消費者で物を買う時に厳しくなっている気がします。歳を重ねたせいもあるのかどうせ買うなら良い物を、ただ安く量が多ければ良いというのではなく本当にその物を買うことで自分が幸せな気持ちになるか、心地よく付き合っていけるか、そんなことを考えて買うようになりました。たとえ日用品の小さな物でも。
*弊社製作の蔦屋書店オリジナルメモ
同じような物が並んでいて何を基準にしたら良いか分からなくなる時がありますが、消費者としてはその製造した会社のことを知れたら買う基準、選ぶ基準ができるのでむしろ製造側から自分たちが大事にしていることや商品のアピールをしてくれるとありがたいな、なんて普段の買い物から思います。
自分の消費者目線でいざ篠原紙工の製造の現場を見るともっともっと私たちも改善できるところがあるな、と気づきます。ここ最近は買い物することやお店で物やお客を観察するのも一つ仕事のための勉強になるなぁ、と改めて実感しております。
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8月3日はファクトリーツアー&トークイベント!
『特殊印刷 加工・製本所 イエローページ』
たのみやすい!誰でも依頼ができる!ビジネスから個人まで、あらゆる用途・要望に親切に対応、加工所の人が見える!
MdNさんから出版されたこの本に篠原紙工/Factory 4Fが紹介されています。ありがたいことにMdNさんよりこの本の出版記念イベントのお声がかかりました。8月3日(水)14:00-16:00、場所はFactory 4Fにてファクトリーツアーとトークイベントを開催。
丁寧で上質な箔押し技術で有名な株式会社 美箔ワタナベの梅津さま、昔ながらの金属活字にこだわる有限会社嘉瑞工房の髙岡さんをゲストにお迎えしてのトークです。
◎詳細&申し込みはこちら
デザイナーさん、PR担当者さん、編集者さん、同人誌制作者さんなどにオススメ! 製本会社の工場見学&クロストークイベントに参加しませんか? | Peatix
いざ自分の働く工場の紹介を見ると、なんだか照れくさいような、不思議な気持ちになりますね。
「篠原紙工は新しい折りの技術の開発にも力を入れてクリエイターのものづくりを応援」
自分の働いている会社を言葉に表すとこうなるのか。他者からの意見や言葉というのは時に的確です。そうか、そうだったんだ…。と気づかされるときもあります。自分たちが意識しないでやっていたことが結果、他者から評価されるなど嬉しいときもあります。
会社にいるとつい自分たちの客観性みたいなものが見えなくなってしまいますが、このように立派な本に紹介していただくとピンッと背筋を伸ばさなければと思います。
篠原紙工はFactory 4Fも含め今までにない製本会社、不可能といわれている事にもチャレンジ、そして代表篠原の溢れんばかりのアイデア力。製本屋でディレクションという言葉なんて今まで飛び交う事はなかったと思いますが代表篠原の仕事のやり方を見ていると確かにディレクションという言葉も合っている気がします。
*折り加工で紹介されました。1ページ目にありがとうございます。
そんな自由創造力豊かでエネルギッシュな個性ある社長のもと、社員はどのようにしたら各自の能力を発揮して仕事をする事ができるのか?
そのまま社長のベースを受け継いで自然に流れてくる仕事をこなしていたら”篠原紙工流” として仕事をこなしているように感じるかもしれません。しかし本来の仕事とはその人が持っている資質みたいなものを会社や組織に活かして役に立ってこそ本当の仕事と言えるのではないか?ここ最近そんなことを考えていました。
そしてふと、ある心理学者の言葉を思い出しました。
「仕事とは自分の能力や興味、価値観を表現するものである。そうでなければ、仕事は退屈で無意味なものになってしまう。」
ずっとこの言葉を考えていて自分なりに咀嚼して解釈したのが「仕事とは自分の能力や興味、価値観を表現するもので、それを他者に役に立たせる事である」人生の中で大きな仕事などした事ない私が言うのもお恥ずかしい話ですが、仕事に対して初めて自分なりに納得できた言葉です。
*思いっきりの笑顔と「社長」と刺繍したワッペン。詳しくは本誌を
篠原紙工という環境の中で会社の個性を守りつついかにその人の資質である能力、価値観、興味を練り込めて組織のため、顧客のために役立たせることができるか。
柔軟で大胆な発想力と実行力で、新しい「紙のコミュニケーション」を目指し、お客さんへの提案から納品までのディレクションが強みの篠原紙工。この表現された言葉を今一度よく考え、今よりもより良い仕事ができる組織になれるよう日々精進です。変化によっては数年後は表現される言葉も変わってるかもしれませんね。
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夏休み、親子でファクトリーツアーはいかがでしょう?
紙加工のイベント4Fes!の際に
『こういう工場イベントは年に1回だけなのですか?』
『平日しかファクトリーツアーはしてないのですか?』
こんな声が聞こえてきました。
土曜日は通常より機械の稼働率が低いことからあまり積極的にファクトリーツアーを行う計画はしていなかったのですが、お客さんからしてみたら稼働率が低くても工場に足を踏み入れること自体に興味があるのでは?プチ ワークショップ等をつけて工夫して不定期ででもやってみよう。という現場の声もありこの度、7月30日の土曜日にファクトリーツアーを行なうことになりました。
◎申し込みはこちら→ファクトリーツアー on Saturday ! - connpass
今回は工場見学プラス、工場内にある機械を使って簡単なノート作りのワークショップを行います。その日4Fでは製本ワークショップも行なっているので賑やかにかるかな?と想像しております。夏休みに入っていますし親子でファクトリーツアーに参加するのもおすすめです。みなさん、土曜日の少しゆったりとした工場へ是非遊びに来てくださいね。
さて、ここでちょっとお話を。
私が毎週水曜日のファクトリーツアーを担当させてもらい1年以上が経ちました。最初は毎回どんなお客さまが来るか、どうしたら喜んでもらえるか手探りでしたが、他のイベントも含め4Fに来てくださるお客様が帰る時の様子にある共通点があることに気づきました。
セミナー、ファクトリーツアー、ワークショップ、と初めて来る工場に緊張の様子はみなさんあるのですが終わった後に元気づけられるというか、明日からの仕事をまた頑張ってみよう、というようなエネルギーをもらって帰る方が多いのです。例えるのであれば良い本を読んだ後にちょっと影響されて行動に変化が出る、というような感じ。
Factory 4Fに来るお客さまは印刷、製本、デザイン関係の方が多いのですが何かしらここで仕事への刺激やヒント、アイデアだったりを求めて辿り着く、というのもお客さまを通して気づきました。製本・紙加工のことを知ってもらう窓口、工場の現場とお客さんが直接顔を会わせる開かれた工場、として始めたファクトリーツアーですが少しでもみなさまの仕事に張り合いを与えられているならこんなに嬉しいことはありません。
私たちがどんなことを与えられるかが少しずつ見えてくることによって自分たちのあり方、自分たちのあるべき基本も見えてきます。今ここでやっとスタートラインに立った気がします。
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「手製本の基本のきほん」ワークショップについて
「本が好き」と言っても様々。
4Fに興味を持ってくださっている方は「読書」「装丁」「デザイン性」「紙」「製本」「工場 ?」と色々いると思います。そして素敵な装丁、デザインを見て「本」という立体物を作ってみたいな...と思ったことがある方も多いのでは?
すごく簡単に言ってしまえば、本は紙の束を綴じた物と私は思っています。子供の頃、遠足のしおりを作る時に順番に並んでいる紙を一枚づつ、順番を間違えないように取り(=丁合)ホチキスや紐で綴じただけで「あっ、本ができた」と思ったことを思い出します。
見開きページで作るとより一般の本らしくなりますが糸や寸法計算してカバーをつけるのは難しそう…と感じるかもしれませんね。
しかし、一度頭をリセットしてシンプルに「紙」と「のり」だけで本は作れる、となるとどうでしょう。それだけでも本は作れると思うと勇気と想像が広がりませんか?
今回のワークショップはそんなシンプルで優しい製本方法です。作りやすい手のひらサイズの「ジャバラ本」「冊子」「のり綴じ」この3つを液状のりだけで作ります。
そして本作りに大切なのは主役である紙の種類とその特徴を知ることです。
本の中にはめくりやすい本や触り心地の良い本などがあります。意識しないと何とも感じないかもしれませんが紙の種類や厚さ、綴じ方が違うだけで手に取ったときの感触、心地が全く違います。これを知っておくと紙選びの際に色々とこだわりが出てくることでしょう。
このワークショップ、いわゆる仕上がりがとてもカワイイ素敵な本…という感じではないかも?しれませんがFacotry 4Fのスタッフとして私が大切と思う「本質」の要素が込められたワークショップになっております。
ここで学んだことを今度はご自身でも楽しんでもらうために最後にワークショップで使用した紙をプレゼントいたします。
ワークショップでおしまいにせず、作り方をご自身のモノにして自分だけの本作りに生かしてください。そして何か製本の新しいアイデアが生まれたり、素敵な本ができたら是非Factory 4Fと共有させてくださいね。
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