本を嗜好品として捉える
こんにちは。Factory 4Fのタブチです。Facebookの方では何度か紹介させていただいていますが、Factory 4Fでワークショップを行っている造本デザイナーの中村麻由美さんの作品を改めてこのブログで少しずつご紹介していきたいと思います。
4Fのワークショップでもよく行うのが彼女の代表的な作品で『束ねて綴がる糸綴じノート』初めて彼女と出会った時にこの作品を紹介されました。適当に折った紙の真ん中を糸で縫うという構造は単純なのですが、この適当に折られている紙が表情豊かで面白い、と思ったのを今でもよく覚えています。
写真で紹介しているのは中村さんがあるグループ展に出したもの。お花見をタイトルにテーマカラーをピンクで統一した作品を展示するという内容だったそうです。いいかげんに折られた紙が上製本になっています。ピンクという甘い色を使い、上製本という固いたたずまいでもあえて周りの紙をカットしないところにこの作品の異端児さが表現されています。本から溢れんばかりのピンク、日本人の好きな桜、春、というのを連想させますね。
Factory 4Fで仕事をしていていろんなデザイナーさんに会いますがやはり皆さん『紙が好き』というのは共通点なようです。中村さんもかなりの紙好きです。ご自身もおっしゃっていますが本を嗜好品としてとらえていています。
『本を嗜好品として』という言葉に対して皆さんはどう思うでしょうか?
思わずここで改めて『嗜好品』という単語を辞書で調べてみる人もいるかもしれませんね。お酒やタバコという単語とよく一緒に使われますが、嗜好品=楽しむもの、味わうもの。でしょうか。本にその言葉を使うとすると紙の触り心地や目に見える形の心地よさ、になるかもしれません。
本の中身というより造形物として捉えてみる、造形美を楽しむ面白さに気づく人がもっと増えると本の世界は変わるかもしれません。本がもしかしたらなくなるかもしれない?というようなこの時代にそういう心豊かになる視点を持つことは新しい何かを生み出すエネルギーになるんだろう。彼女の作品や話からそんなことを想像しました。
◎6月19日の中村さんのワークショップ詳細 → 4F放課後製本部!(製本ワークショップ) - connpass