紙箱の宇宙は広かった! 〜 紙器研究所「箱覧会2016」
こんにちは。4Fブログをご覧の皆さま、はじめまして。
4Fの編集室長をしている沼上純也(ぬまかみ・じゅんや)と申します。
(実は、Factory 4Fには「4F編集室」という制作チームがあるのです!)
Factory 4Fももうすぐ2周年ということで、この4Fブログにもこれまでとは違った風を吹き入れるべく、これからちょこちょこ記事を書いていきたいと思います。
お見知り置きのほど、お願いいたします!
(マネージャー・タブチも引き続き執筆しますので、タブチファンの皆さんもご安心を!)
さて、1回目の記事から4Fと直接関わりのないことでアレなんですが、今回ご紹介するのは3331 Arts Chiyodaで本日まで(!)開催中の「箱覧会2016」。
かみの工作所やテラダモケイなどでも有名な “紙加工界の雄”・福永紙工さんが1年前に立ち上げたプロジェクト「紙器研究所」の第1回発表会です。
オフィシャルサイトによると、紙器研究所はこんなプロジェクトとのこと。
「紙器研究所」は紙を使った器を研究し、社会に貢献することを目指す活動。紙の加工と印刷を手がける工場を軸に、紙を立体化することに執着するデザイナーが集まり、紙器を様々な側面から継続的に研究しています。 分類、展開図、構造、組立方法などから、紙器の可能性を可視化し、設計や製造方法を追求しています。
会場につくと、こんな感じでポスターと(箱の)抜き型が出迎えてくれます。
「箱の宇宙を覗く4日間」というサブタイトルに期待も膨らみます。
会場内はというと、まさしく箱の宇宙!
紙の「箱」についての基本的な作り方の説明にはじまり、箱の形状についての考察(これをマッピングした図がまた興味深いです)、さまざまな箱の可能性を探ったプロトタイプの展示がずらりと並びます。
なかでも気になったのは、さまざまな箱のバリエーションのプロトタイプ。
基本となる箱(いわゆるフツーのフタのできる箱です)に、切り込みや折りスジなどを足し引きすることで、まったく印象が異なる箱が組み上がってしまうのです。
たとえばこんな感じで、遠目にはまったく同じ展開図に見えます(近づくと切れ込みやスジが見えます)。
こんな箱のバリエーションが、展開図と組み上がりをセットにして50例も展示されています。
しかも、基本的な紙箱をつくる機械で加工が可能(専門的に書くと、「基本的なグルアー設備で胴貼りが可能」)で、なおかつ中にモノが入りフタが開閉できるという制約のもとで、これだけのバリエーションが出来上がっているとのこと。
ほかには「三角形を基本構成要素とした箱の設計」と題した研究のプロトタイプ展示も。
そんなさまざまな紙箱のプロトタイプの一部は、こんなふうに実際に触れるようにもなっています。
「おさわりOK」なのは、中央のテーブルに並んだ紙箱たち。
来場者の皆さんも、これはどうなっているんだろう? と気になる箱を手にとっては、へー! と驚いたり、ふむふむとうなずいたりしていました。
また、会場内には試行錯誤の過程がかいま見られるコーナーもありました。
出来上がったプロトタイプの面白さもさることながら、これを生み出した研究員の皆さんの探究心と、この研究を可能にした福永紙工代表の山田明良さん(紙器研究所の代表でもあります)のふところの大きさに頭が下がります。
会場を出ようとしたところ、代表の山田さんがいらしたので、少しだけお話をすることができました。
山田さん「かみの工作所やテラダモケイなどの活動が目立っていますが、工場では普通の紙の箱をつくったりしているんです。今回はその中間くらいをやりたくて、こういう活動を始めました。」
先細りと言われる紙業界にあって、自分たちの足元をしっかりと見つめながら、新しい可能性に挑戦していく経営者としての言葉が印象的でした。
ちなみに、本日も17時から研究員のお一人・三星安澄さん(グラフィックデザイナー)による無料レクチャーがおこなわれるそう。
お時間ある方はぜひお出かけください。
◎文責:沼上純也(4F編集室)