手を動かす製本ワークショップ in 多摩美
製本屋のワークショップ
ディスカッションの次は
手を動かす製本ワークショップ。
今までの経緯はこちら
No.2 本について。話し合う/多摩美術大学 - 4F Blog
No.1 製本会社だけど、手を動かさない思考のワークショップ (多摩美術大学) - 4F Blog
やっと製本屋らしく、
篠原紙工の新島龍彦氏Tatsuhiko Niijima Portforio
のアイデアで授業が進められました。
前半は基本を学習。
白い紙で、
ジャバラ綴じ
冊子綴じ
三つ目綴じ
3種類の基本の綴じ方を行ないました。
そして後半は応用編。
5枚配られた紙を
•1度だけ折る
• ハサミやカッターで切るという加工を入れる
この条件をもとに各自、同じ折り、同じ切り方
をしたものを計5枚分作ってもらいました。
そしてここからはちょっとサプライズで
学生さんには事前に伝えてません。
同じ机の人同士でその折って切った紙を
交換します。
なので自分の手元には1枚は自分で折って切った紙、
その他4枚は同じ机で一緒になった他4名が
折って切った紙が手元にきます。
それを前半に習った綴じ方を応用して繋ぎ合わせ、
本を作る。というワークショップです。
5枚の紙を綴じ合わせる際に、自分の「なんか好き」という感覚
を中心に制作してほしい、と新島氏。
紙と紙を重ね合わせた時の色の配色感がいい
この開いた時のこの角度から見るとイイ
開く前と開いた後の違いが好き
右ページと左ページのこのシンメトリーが好き、
などなど...
そういう部分を意識して作ってみてくださいと伝えました。
まさにパーソナルな「好き」という感覚を
押し出す授業です。
皆さん黙々と、切る作業ではまるで切り絵のように丁寧にしている
学生さんもいました。
講評の時は自分の作った本を他の学生さんにどこが良いと思って
作ったかを当ててもらうような形にしました。
皆さん頭も心もフル回転で講評をしてくださいました。
*学生の作品①
この
「なんとなく好き」
って感覚に注目したいのですが。
意外と自分の「なんとなく好き」って
自覚しにくいのではないでしょうか?
(惰性ではなく)知らず知らずに選んでるモノ、
色、気分が良くなること、
心地良いから、好きだから
選んでいることに気づいていないという感覚。
それは日々の忙しさだったり、考えるチャンスがなかったり、と
理由は色々あるとは思います。
*学生の作品②
でもこの
「なんとなく好き」って、非常に大事な感覚で、
日々の「なんとなく好き」の感覚をキャッチして積み重ねていけば
自分が今後やりたいことさえも見つかる気がします。
「なんとなく好き」から始まり、考えて、調べて、
行動していけば、やってみたい
ことにも繋がり、学生であれば、
自分の表現方法や作品の方向性も決まるのではないでしょうか。
*学生作品③
学生でなくとも、社会人でも自分の本当にやりたいこと
を見つける時にはこの日々の「なんとなく好き」がヒント
になるのだと思います。
ワークショップを担当した新島氏も
紙が好き、本が好き、という
感覚を信じて今に至るというような内容を
学生さん達に最後話していたのが印象的でした。
私自身も今まで、結局なんとなく「好き」だとか「良い気がする」
というものすごく曖昧な感覚を頼りにしてきましたが、
今のところそれに従ってきた道は間違っていない気がします。
時々、先の不安や、このままで自分は良いのだろうか?
というループにはまる時がありますが、そういう時こそ
自分の立ち位置の点検時期として、自分が好きなこと、
気分が良くなること、気になることに注目して、小さな
チャレンジを日々しています。
2週に続けて行なった多摩美でのワークショップ。
学生さん達の最終的な作品提出で何か変化が表れる
と嬉しいです。T